緊張がほぐれる
んっ?モゾモゾする?・・・
「申し訳ございません、ご主人様。起こしてしまいました。」
「もう朝なんだね。毎日本当に早起きだよねえ。」
「早く支度をして、ご主人様を起こすという、大切なお仕事がございます。」
「起こす時間、もっと遅くてもいいんだよ。」
「ウフフッ、そういう訳にもいかないもので・・・」
「やだあ、もっとねる~!」
「あらあら、だめだめになってしまわれました。」
「まあ、大体はダメダメだけどね。」
「そのようなことはございません。それに、ご主人様がお屋敷にいないと、何だか皆さん、落ち着かないのです。奥方様もずっと強ばった顔をされておりました。」
「随分、心配をかけたんだね。」
「そうですね。でも、どうやら私は奥方様のように、先を読み、細やかな所までご主人様のご心配をできておりませんでした。ご主人様のお気持ちに寄り添うことも、とても情けないです。」
「そんなことはないよ。私はローサの穏やかな優しさにいつも癒やされ、助けられている。そもそも、才女と聖女は果たす役割が違うんだよ。」
「それでも、もう少し成長しないといけません。」
「十分すぎると思うけどなあ。そうだ、もう少し一緒にいてくれる?」
「私はそれで良いのでしょうか・・・」
「後は、もう少しのんびり寝かせてくれれば。」
「分かりました。もう少しだけなら、まだ時間的に大丈夫です。」
「今日はもう、このままでいいんじゃない?」
「ご主人様がお顔を出さないと、それはそれで皆、心配してしまいます。」
「でも、今はいいでしょ。だっこ~」
「はい、分かりました。ご主人様はもう、ヴィレやフランシス様と一緒です。」
「そういや、子供たちは大きくなった?」
「はい、ヴィレはともかく、フランシス様とトマス様は離乳食を嫌がってしまい、食べさせるのに苦労いたしますが、すくすく大きくなっていますよ。みんな、寝返りも打てるようになりましたし。」
「それなら、もうすぐ立ち上がるね。」
「もう起きるはずですよ。子供たちに会ってあげて下さい。」
「ええ~、起きなきゃダメ~・・・」
「では、もう少しだけお休み下さい。」
「やっぱり、ローサは何だかんだ言っても、優しいよね。」
「では、支度して参ります。」
「ええ~!お慈悲を・・・」




