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リンツ伝  作者: レベル低下中
第三章 家族編
574/1781

緊張がほぐれる

 んっ?モゾモゾする?・・・


「申し訳ございません、ご主人様。起こしてしまいました。」

「もう朝なんだね。毎日本当に早起きだよねえ。」

「早く支度をして、ご主人様を起こすという、大切なお仕事がございます。」


「起こす時間、もっと遅くてもいいんだよ。」

「ウフフッ、そういう訳にもいかないもので・・・」

「やだあ、もっとねる~!」

「あらあら、だめだめになってしまわれました。」

「まあ、大体はダメダメだけどね。」

「そのようなことはございません。それに、ご主人様がお屋敷にいないと、何だか皆さん、落ち着かないのです。奥方様もずっと強ばった顔をされておりました。」


「随分、心配をかけたんだね。」

「そうですね。でも、どうやら私は奥方様のように、先を読み、細やかな所までご主人様のご心配をできておりませんでした。ご主人様のお気持ちに寄り添うことも、とても情けないです。」

「そんなことはないよ。私はローサの穏やかな優しさにいつも癒やされ、助けられている。そもそも、才女と聖女は果たす役割が違うんだよ。」

「それでも、もう少し成長しないといけません。」


「十分すぎると思うけどなあ。そうだ、もう少し一緒にいてくれる?」

「私はそれで良いのでしょうか・・・」

「後は、もう少しのんびり寝かせてくれれば。」

「分かりました。もう少しだけなら、まだ時間的に大丈夫です。」


「今日はもう、このままでいいんじゃない?」

「ご主人様がお顔を出さないと、それはそれで皆、心配してしまいます。」

「でも、今はいいでしょ。だっこ~」

「はい、分かりました。ご主人様はもう、ヴィレやフランシス様と一緒です。」


「そういや、子供たちは大きくなった?」

「はい、ヴィレはともかく、フランシス様とトマス様は離乳食を嫌がってしまい、食べさせるのに苦労いたしますが、すくすく大きくなっていますよ。みんな、寝返りも打てるようになりましたし。」


「それなら、もうすぐ立ち上がるね。」

「もう起きるはずですよ。子供たちに会ってあげて下さい。」

「ええ~、起きなきゃダメ~・・・」

「では、もう少しだけお休み下さい。」


「やっぱり、ローサは何だかんだ言っても、優しいよね。」

「では、支度して参ります。」

「ええ~!お慈悲を・・・」


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