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リンツ伝  作者: レベル低下中
第三章 家族編
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以心伝心

 結局、謁見そのものは問題なく終わった。


 ただし、国歌の歌詞が何度もダメ出しくらったせいで、帝都に2週間も滞在することになり、ロスリーには4月12日に帰り着いた。


「こうして落ち着くと、やっと帰ってきたって実感するよ。」

「お疲れ様でした。無事お戻り下さり、とても安堵いたしました。」

「ありがとう、心配掛けたね。」

「はい、旦那様と私はまるでロデオとブリギッテのようです。まさに以心伝心でした。」

 ルーデルさんはいるが、アーニャさんとローサはピッタリくっついて離れない。


「陛下のご用件はいかがでしたか。」

「うん、軍事的な支援について依頼があったね。兵器に関しては、公爵家と同じ性能のものを献上するように言われたけど、ちょっとご機嫌斜め程度で済んだよ。むしろ、アーニャさんが来ていないことにムッとしてた。」

「そうだったのですね。でも、私とはもう、お会いしたくないと思っておりました。」

「いや、会いたいのだと思うよ。まあ、そう簡単には会わせてあげないけどね。」

「ご主人様はやっぱり意地悪です。」

「そりゃあ、アーニャさんをあんな目に遭わせたんだから、当然だよね。」


「他には、どのような依頼があったのですか。」

「後は、軍艦建造への協力と軍楽隊、儀仗隊の創設に協力するよう、そうだ、アーニャさん。帝国国歌というものが今回作曲されて、楽譜を預かって来たんだけど、私では読めないからいつものヤツに書き換えて欲しいんだ。」

「ええ、明日にでも仕上げておきます。」

「ありがとう。それと皇后陛下から、星降る夜にの続編を書くように依頼された。」

「まあ、陛下も物語のファンなのですね。」

「うん、帝都でも話題になっているらしい。叔父さんもすっかり有名人だよ。」

「旦那様からもジョルジュ様に続編をお願いして下さい。」

「ご主人様、私からもお願いします。」

 いや、えらい食いつくねえ・・・


「まあ、叔父さんには伝えておくよ。」

「しかし、陛下の用件がその程度で良かったですね。」

 不意にアーニャさんの腕に力が込められた。


「そうだね。でも正直、これだけなら手紙でいい内容だったね。」

「やはり、奥方様にお会いしたかったということでしょうか。」

「そうだと思う。使者が用件を明かせなかったのも、きっとアーニャさんを名指しで呼び付けられないためだと思うよ。でも、子育て中だと事情は説明しているので、当分はそのような要求はしてこないと思うよ。」


 後日、ルーデルさんから私が不在時の話を聞いて、一瞬、気が遠くなった。


 アーニャさん、以心伝心、見事に失敗してるからね!


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