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リンツ伝  作者: レベル低下中
第三章 家族編
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お茶には良い季節

 とある春の休日。


「すっかり春になったね。」

「暖かくていいですね。とてものどかです。」


「三人ともお腹がだいぶ目立ってきたね。」

「はい、最近はお腹を蹴るのですよ。元気ですね。」

「私はまだです。大丈夫なのでしょうか。」

「もうすぐだよ。心配する必要はないよ。みんな体調はどう?」


「今は皆、落ち着いております。食事も普段どおり摂れるようになりました。」

「それでもやはり、甘酸っぱいお菓子が一番すんなり入りますね。」

「まあ、何か食べられるなら、それでいいと思うよ。」

「また色々なメニューを開発しているそうですね。早く食べてみたいです。」

「まあ、もう少しの辛抱だね。」

「そうですね。子供が生まれたら美味しいものも食べられますし、楽しい事もたくさんあるのでしょうね。今は本当に幸せな気持ちで一杯です。」


「本当に3人ともいい顔してるよ。」

「でも、子供が産まれるときっと大変なのでしょうね。」

「たくさん夜泣きをすると聞きました。」

「ああ、あれは本当に大変だよ。」

「えっ?ご主人様?」

「ああっ!いや、よくそう言われるよね。」

 いかんいかん!


「2時間おきくらいに授乳が必要だから、寝不足気味で大変だと聞いたね。」

「大変ですね。体力勝負になりますね。」

「そこで3人分担だよ。アルマさんは夜、屋敷に帰らざるを得ないけど、昼はその分、2人がフォローしてあげればいい。2人は一晩づつ交代で授乳すればいい。同じく昼間は家人にできるだけ任せて休憩を多めに取ればいいよ。ある程度慣れたら、そのローテーションで乗り切れると思う。」

「よろしいのですか?」


「お母さんのイライラした顔を見せないことが、子供にいいと思うからね。」

「ありがとうございます。奥方様だけでなく、私にまで気を遣っていただいて、とても有り難いことです。」

「アルマさんも、二人をよろしくお願いします。」

「はい、お任せ下さい。」


「でも、みんなで協力すれば、何とかなりそうな気がしてきましたね。」

「貴族家らしくはないかもしれないけど、きっと素晴らしい経験になると思うよ。」

「早く会いたいですわね。」

「あっ、今動きました。」


 これで心配なし。


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