お茶には良い季節
とある春の休日。
「すっかり春になったね。」
「暖かくていいですね。とてものどかです。」
「三人ともお腹がだいぶ目立ってきたね。」
「はい、最近はお腹を蹴るのですよ。元気ですね。」
「私はまだです。大丈夫なのでしょうか。」
「もうすぐだよ。心配する必要はないよ。みんな体調はどう?」
「今は皆、落ち着いております。食事も普段どおり摂れるようになりました。」
「それでもやはり、甘酸っぱいお菓子が一番すんなり入りますね。」
「まあ、何か食べられるなら、それでいいと思うよ。」
「また色々なメニューを開発しているそうですね。早く食べてみたいです。」
「まあ、もう少しの辛抱だね。」
「そうですね。子供が生まれたら美味しいものも食べられますし、楽しい事もたくさんあるのでしょうね。今は本当に幸せな気持ちで一杯です。」
「本当に3人ともいい顔してるよ。」
「でも、子供が産まれるときっと大変なのでしょうね。」
「たくさん夜泣きをすると聞きました。」
「ああ、あれは本当に大変だよ。」
「えっ?ご主人様?」
「ああっ!いや、よくそう言われるよね。」
いかんいかん!
「2時間おきくらいに授乳が必要だから、寝不足気味で大変だと聞いたね。」
「大変ですね。体力勝負になりますね。」
「そこで3人分担だよ。アルマさんは夜、屋敷に帰らざるを得ないけど、昼はその分、2人がフォローしてあげればいい。2人は一晩づつ交代で授乳すればいい。同じく昼間は家人にできるだけ任せて休憩を多めに取ればいいよ。ある程度慣れたら、そのローテーションで乗り切れると思う。」
「よろしいのですか?」
「お母さんのイライラした顔を見せないことが、子供にいいと思うからね。」
「ありがとうございます。奥方様だけでなく、私にまで気を遣っていただいて、とても有り難いことです。」
「アルマさんも、二人をよろしくお願いします。」
「はい、お任せ下さい。」
「でも、みんなで協力すれば、何とかなりそうな気がしてきましたね。」
「貴族家らしくはないかもしれないけど、きっと素晴らしい経験になると思うよ。」
「早く会いたいですわね。」
「あっ、今動きました。」
これで心配なし。




