あらあらまあまあ
今日は早めに仕事を終えてきた。
私より有能な文官が3人も居るのである。普段はそれほど忙しくない。
「ああオルガさん、いつも掃除ありがとうございます。」
「まあまあ、お早いお帰りですね。奥方様も下でお仕事をされております。」
「そんなに無理しなくていいのにね。ローサは?」
「はい、午後は孤児院です。」
「みんな無理するねえ。」
「あらあら、心配ですか?」
「そりゃあ、安定期に入るまではねえ。」
「若旦那様はお優しくて、とても良いですね。奥方様もローサさんもとても穏やかで、良いお顔をされております。ありがとうございます。」
「そうだね、二人とも落ち着いたよね。見ているこっちも気持ちが落ち着くよ。」
「ローサさんが幸せになったのも、若様のお陰です。従者から妻、そして母に。生い立ちは不幸なものだったかもしれませんが、今のローサさんは、誰よりも尊い幸せを手に入れることが出来ました。本当に感謝しております。」
「オルガさんにとっても、孫みたいなものだから、生まれたら抱いて下さいね。」
「よろしいのですか?」
「ローサも喜んでくれると思います。」
「あらあらまあまあ。」
「何と言ってもローサの母です。これは私が保証します。私も、小さい頃は散々お世話になりましたし。」
「若旦那様は、とにかく物静かで、ほかの子供とは全く違うと思っておりました。今までなされて来た事も、他の人では到底できないことばかりでしたが、人を幸せにするという事においても、類い希な才をお持ちでございます。」
「オルガさん、褒めすぎだよ。」
「若旦那様ならきっと、ローサさんを幸せにして下さるものと期待しておりましたが、それ以上でございます。何より、若様が毎日楽しそうなことが、なおよろしいと思います。」
「まあ、とても楽しい事だけは確かだよ。」
「そこは、大旦那様とは大違い。」
「父は、まあそうですね。あまり褒められたものではなかったのでしょう。」
「でも、悪い方ではございませんの。ただ、人を知らず、自分の事にも無頓着で、周りから誤解されてばかり。」
孫子の兵法なら全敗だな・・・
「でも、そんなに悪くなかったと?」
「はい、ですので大旦那様にも、お子ができたことを、お知らせください。」
そうだった、すっかり忘れてた!
まあ、遺伝だな・・・




