本当はどうなの?
「とこでさあ、リサさんとケヴィン様って、実際のとこどうなの?」
「どう、とおっしゃいますと?」
「いや、何か二人とも冷静というか、表情が表に出ないというか・・・」
「そのことであれば心配はございません。しかし、そうですね・・・少し様子を見てみましょうか。」
ということで、とある4月の休日。公爵邸にて・・・
「な、何よ、アンタたち・・・」
「あなたたちの様子を見に来ました。もちろん、二人の仲を疑っている訳ではございませんが、エル君の不安を払拭する必要がございます。何しろ、あのお兄様のことですから、リサに全く愛情表現をされていない懸念もございますし、リサもリサですから。」
「何か理由が雑すぎない?」
「そ、そうだよ。僕たちもそれなりには・・・」
「お兄様、それなりとは何ですか!美しい花も、丹念な手入れあってこそのものです。愛情も無限に湧き出すものではございません。与え、与えられなければ、いつかは枯れるのでございます。」
「分かってる、分かってるよ・・・」
「それでどうなのです、お兄様。リサにちゃんと気持ちを伝えていますか?」
「それはもちろんだよ。」
「では、今ここで誓うのです。私たちが見守っておりますので。さあ、どうぞ!」
強い、強すぎる!
「リサ、その、こんな私を選んでくれて本当にありがとう。私は正直、頼りないかも知れないが、思いは本物だ。昔からずっと、その、好きだった。けど、自分に自信が無くて、本当は今でも自信が無い。でも、私は全力を尽くす。いつかは、私で良かったと言ってもらえるよう、精一杯努力する。だから、今は取りあえず私を見ていて欲しい。」
「ケヴィン様・・・」
「はい、お兄様にしては良く出来ました。及第点です。ではリサ、どうぞ!」
「えっ?」
「何でしょうか?」
「いえ、その・・・私もケヴィン様のことは昔から優しくて、いつも笑ってて、楽しくて、その、一緒にいてとても心地よかったことを覚えております。でも、私では釣り合う訳も無く、アーニャがお城に上がってからは、少しづつお会いする機会も減っていき、好きは憧れに、やがて諦めにと、その思いは眠りにつくはずでした。今回、ケヴィン様から思いもよらぬお話をいただき、私の思いは蘇り、今は本気で生涯寄り添いたいと思っております。こんな私でよろしければ、是非ともよろしくお願いします。」
「いかがでしょう、エル君?」
「参りました・・・」




