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リンツ伝  作者: レベル低下中
第二章 貴族学校編
489/1781

本当はどうなの?

「とこでさあ、リサさんとケヴィン様って、実際のとこどうなの?」

「どう、とおっしゃいますと?」

「いや、何か二人とも冷静というか、表情が表に出ないというか・・・」

「そのことであれば心配はございません。しかし、そうですね・・・少し様子を見てみましょうか。」

 ということで、とある4月の休日。公爵邸にて・・・


「な、何よ、アンタたち・・・」

「あなたたちの様子を見に来ました。もちろん、二人の仲を疑っている訳ではございませんが、エル君の不安を払拭する必要がございます。何しろ、あのお兄様のことですから、リサに全く愛情表現をされていない懸念もございますし、リサもリサですから。」

「何か理由が雑すぎない?」

「そ、そうだよ。僕たちもそれなりには・・・」


「お兄様、それなりとは何ですか!美しい花も、丹念な手入れあってこそのものです。愛情も無限に湧き出すものではございません。与え、与えられなければ、いつかは枯れるのでございます。」

「分かってる、分かってるよ・・・」


「それでどうなのです、お兄様。リサにちゃんと気持ちを伝えていますか?」

「それはもちろんだよ。」

「では、今ここで誓うのです。私たちが見守っておりますので。さあ、どうぞ!」

 強い、強すぎる!


「リサ、その、こんな私を選んでくれて本当にありがとう。私は正直、頼りないかも知れないが、思いは本物だ。昔からずっと、その、好きだった。けど、自分に自信が無くて、本当は今でも自信が無い。でも、私は全力を尽くす。いつかは、私で良かったと言ってもらえるよう、精一杯努力する。だから、今は取りあえず私を見ていて欲しい。」

「ケヴィン様・・・」


「はい、お兄様にしては良く出来ました。及第点です。ではリサ、どうぞ!」

「えっ?」

「何でしょうか?」


「いえ、その・・・私もケヴィン様のことは昔から優しくて、いつも笑ってて、楽しくて、その、一緒にいてとても心地よかったことを覚えております。でも、私では釣り合う訳も無く、アーニャがお城に上がってからは、少しづつお会いする機会も減っていき、好きは憧れに、やがて諦めにと、その思いは眠りにつくはずでした。今回、ケヴィン様から思いもよらぬお話をいただき、私の思いは蘇り、今は本気で生涯寄り添いたいと思っております。こんな私でよろしければ、是非ともよろしくお願いします。」


「いかがでしょう、エル君?」

「参りました・・・」


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