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リンツ伝  作者: レベル低下中
第二章 貴族学校編
488/1781

卒業が近い雰囲気

 3月は卒業シーズン、ではない。

 あくまでここでは6月30日が卒業式である。


 ただ、卒業まで4ヶ月を切るこの時期は、就職や婚約ラッシュでもある。

 私たち以外でも婚約を発表した生徒はいるが、何と言っても今一番ホットなのはリサさんだ。

 何せ未来の公爵夫人である。

 しかも、今まで浮いた話の一切無かった、イケメン注目株ケヴィン様と、全くノーマークのリサさんだっただけに、そのインパクトは特大だった。


 今や、リサさんのステータスと注目度は、生粋の公爵令嬢を遙かに上回り、取り巻きになりたい方々に追い回される始末。


 ちなみに、レイ君は公爵家の執事見習いに、アル君たちは、それぞれ家業に専念することが決まっている。


「もう、やってらんないよ。何なのよ、みんなして・・・」

「さすがのリサもお疲れね。」

「あんた、今までこんなのに耐えてたんだね。尊敬するわ。」

「リサなら大丈夫です。信用できる方の見極め、大事なのはこれだけです。」

「それが難しいんだよ・・・そうでなくたってさあ・・・」


「でも、そのお陰で私たちは随分、楽させてもらってる。」

「もう、完全にアーニャにやられたわ。卒業後でも良かったのに・・・」

「いいえ、お兄様より私が先に結婚する訳にはまいりませんもの。」

「そりゃそうかも知れないけどさあ・・・」

「でもリサ様、今や学内で敵無し状態ですよ。」

「うん、過去最高シュタインバッハになってる事だけは分かる。」

「大丈夫です。僕が全力でお守りします。」


「そういやレイ君、若奥様って呼ぶの?」

「もちろんだよ。卒業後は執事のそのまた見習いだからね。」

「アタシはレイ君って呼ぶけど。」

「ええ~・・・」

「リサらしくて良いと思います。」

「でも、卒業かあ、何だか寂しいね。」

「まさかキース君から、そんな言葉が出るとは思わなかったよ。」


「いやあ、そりゃあ出るよ。こんなに楽しい学校生活なんて予想してなかったからねえ。」

「そうだね、平民なんて相当雑な扱いを受けると思ってたからね。」

「まさか、私が一番雑な扱いとは思っても見なかった。」

「まあ、エル君は特別よねえ。」

「今でも、あのグループ課題研究の表彰式は、何か泣けてくるよ・・・」

「まあ、知らない人からすれば、学年一桁6人にブービー1人のグループだし。」

「あれは、私も珍しく怒りが湧いてしまいましたわ。」

「・・・・」


 普段怒らない人を怒らせるのは、絶対にやめようと思った。


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