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リンツ伝  作者: レベル低下中
第二章 貴族学校編
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信じて待つ人

「まあまあローサさん、また浮かないお顔になっていますよ。もっと明るい顔をされないといけませんわよ。」

「ありがとうございます。オルガさん。」

「あなたがそのようにやつれてしまわれたら、せっかくお戻りになった若様が悲しんでしまいますよ。」

「はい。そのとおりですね。でも、どうしても心配してしまいます。ご主人様を信じているはずですのに・・・」


「そうですね。不安は待つ身に募る、と言いますね。では、こういうお話をしましょう。旦那様はどんな過酷な戦であろうと、勝ち負け関係なく、いつも何事も無かったかのようにお帰り下さいました。若様はその旦那様の血を受け継いでおります。ですから絶対に大丈夫です。何と言っても共に暮らしていないのに、あれだけ似ているのですから。やはり親子ですね。」

「そんなに似ているのですか。」


「一見すると全く逆に見えるお二人ですが、中身はそっくりですよ。違いが目立つのは、若様がお歳の割に随分と大人びているところでしょうか。あれは普通では無い、何か不思議なものを感じます。対して旦那様は見た目は大人、中身は子供でございます。まあ、随分と大人ぶるのは上手になりましたし、変わらない所が旦那様の良い所でもございますが。」

「そうなのですね。旦那様はとてもお怖い方とお見受けいたしましたが。」


「見た目で大分損をされておいでですが、存外、そのような事はありませんのよ。だからこそ、奥方様と上手くいかなかった、いえ、このような事申し上げるべきではありませんでしたね。余計な事を申してごめんなさい。」

「いえ、ありがとうございました。何だか少し元気が出ました。」


「それはようございました。あなたは、幸せを確かに掴み、若様はそれに確かに応えて下さる方です。いつの時も若様を信じ、お慕いし、待つことを厭わない事こそ大事です。決して掴んだ手を放さないように。まあ、若様ならローサさんが手を放しても、手首をしっかり握っていて下さるでしょうけど。」

「お~い、ジョセフがお菓子持ってきてくれたぞ~!」

「行きましょうか、ローサさん。」

「はい。」


「レミリア!もうちょっと綺麗に食べなさい!」

「そうよ、姉さんみたいになっちゃうよ!」

「アンタねえ、アタシをポンコツみたいに言わないの!」

「そういうアイリーンもボロボロよ。」

「こぼしてないから!もう、ティアラさんまで笑わないで!」


 ご主人様、お屋敷は今日も賑やかです。


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