マーリエ攻略戦
帝国歴251年6月14日
マルチン=ユグノー王国は、元々マルチン王国とユグノー王国が合併して成立した国であり、東部がユグノー地方と呼ばれる。
そして王都が旧マルチン王国の首都ダリアであり、この古都マーリエは、旧ユグノー王国の王都だった町である。
そのため、町の外周に城壁こそないが、中心部に立派な城を持つ同国第二の都市である。
「出てきたのう。」
「ついに我が帝国の悲願、マーリエ陥落をこの目で見ることができるのだ。」
「軍監殿、危険です。幕舎内に本革製豪華リラクゼーションチェアをご用意しておりますので、そこまでお下がりを。」
「そうじゃな。戦場では何が起こるか分かりませんぞ。馬を使うかも。」
「私をどこまで馬鹿にするつもりだ!馬くらい乗れるわ!」
「はて、軍監殿の馬などおりませぬが・・・」
「ベリッヒハイネで草喰ってるかも知れません。」
「申し上げます!敵軍、陣形を整え前進する模様。先頭は歩兵部隊。」
「歩兵?騎兵ではなく?」
「こちらを攪乱した後に騎兵を投入するか。損害を考えずに消耗戦ということじゃな。」
「し、しかし、最前は民兵です。」
「何と非道なことよの。」
「撃ちますか?」
「当然の事よ。武器を構えて向かってくる以上、それは敵。エルハバード卿よ、戦場での情けは敗北を意味する。情けは後でかけるものよ。」
「大砲、発射準備。目標、後列正規軍及び敵本陣。ゴホーク殿、前線の銃兵に伝令。敵農民兵は蹴散らすにとどめ、追撃はせぬよう伝えよ。」
「心得た!」
「準備完了しました!」
「砲撃開始!」
轟音を伴い、瞬く間に敵陣に火柱が上がる。
すぐに逃散する敵兵も現れ、さしたる攻撃もできないまま総崩れとなり撤退が始まる。
民兵の士気もおおむね低く、多くがすぐに投降したが、それでも銃撃により多くの死傷者を出す結果となった。
戦闘は2時間もかからず終了し、町に軍を進めて残存兵の掃討に入る。
そしてエルハバードたちは、翌日午後に市内に入る。
どうやら敵将はユグノー城に立て籠もった模様。
町と運命を共にするようである。
こういうのは、何回経験しても徒労感しか残らない・・・




