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リンツ伝  作者: レベル低下中
第二章 貴族学校編
441/1781

領地の新たな進化

帝国歴251年2月



 1月、ということは昨年末時点の報告が来た。


 ロスリーは今、第2回評議員選挙を控えてかなり忙しいのだそうだ。

 今回からロプスドール及びオルガノにも設置され、これで旧領にあってシュバイツァーに無いものは、ほぼ無くなったといっていいだろう。

 ちなみに投票は5月だ。


 測量もかなり進み、領内の道路、河川、都市などの位置関係も明らかになった。

 また、山岳についても測量が進んでいる。

 これからコンター測量を行うので、等高線の入った現代的な地図に生まれ変わって欲しい。


 印刷工廠も既に稼働を始めている。

 顧客は帝都が主だが、戯曲や学術書を受注し、発行している。

 文房具や書店も併設しているので、市内の動線も多少変わっていることだろう。


 そして、ここ最近の紙の需要増と木材供給量の逼迫に対応するため、山脈北側、つまりエル=ラーン王国側へ林業班派遣が決まった。

 伐採した木材はシノ川河口から陸揚げされる。

 ガーゴイル内に製紙第二工廠の建設を考えるべきだろう。


 また、化学第5工廠の建設が始まった。

 場所はロスリー市内北側で、兵器工廠の隣だ。

 製品としてはゴム及びプラスチック製品の製造を行う。


 使役事業は順調で、ロスリーやスーディルでは市内で僅かに残っている舗装を行うほか、排水路及び下水への開閉式導流路を建設している。

 これは舗装により雨水の逃げ場が無くなったことによる追加措置である。


 建設面ではウスター~ニーウェイ間の道路が完成し、ロスリーから馬車で簡単に行けるようになったほか、ロスリーとウスターを直接結ぶトンネルの建設がスタートした。

 この経験を基に、へワーク峠、アッサム峠、マーブルク峠などにおける建設も進めたい。


 また、ガーゴイル地方の各種計画についても策定中とのこと。

 やっとシュバイツァーが落ち着いた所だったのに、という思いはあるが、まあ、この地方は狭いのでそれほどの負担にはならないと踏んでいる。

 ただし、東も直接エル=ラーン国境に接してしまったので、防衛拠点の整備は必要だろう。


 領内総人口は141,774名とついに14万人を越えた。

 徴税額も2億5千万ディリを越えると予想している。

 もう財政的には国内有数の大貴族家だ。


 そんな当家は既に累代の債務を全て返済していたつもりでいたが、隠れ債務が発覚した。

 何と中央政府に毎年支払う上納金という名のみかじめ料が、38年間も未納だったのだ。

 ということは祖父の晩年からである。父が知らなかったのも無理はない。


 まあ、みかじめ料は各諸侯から主従関係の確認のために、「便宜上」支払っているもので、年間100万ディリで延滞金も付かないそうなので、来年度に一括支払いすることにした。

 まあ、恥ずかしいが仕方無い。


 ということで、領地はつつがなく運営されている。


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