発射実験
早速大砲と鉄砲をヒューイ演習場に持ち込んでレクチャーと試射を行う。
勿論、私だって実際に使ったことはないが、テレビで見た知識を使い、知ったかぶりを貫いた。
大砲は1号砲と名付けられた後装式の大砲と2号砲と名付けた小径の前装式砲であり、2号砲は現在の迫撃砲と同じものである。
今回使用する砲弾は全金属製の徹甲弾である。
炸薬と信管の付いた砲弾は3号ライフル砲から採用予定である。
大砲は、部品強度の確保を重要視した、戦国時代レベルのものである。
発射用炸薬は袋に詰めている。
これは昔見た"何とかの戦艦"という映画で艦砲射撃シーンがあったので、それが正解なのだろうと考えて採用した。
銃は完全に先込式の火縄銃である。
ただし、火薬はあらかじめ軽く成形しており、棒で突き固めるなんて危険な事はしない。
いや、そんな度胸はない。
大砲の発射実験は大成功だった。
火薬は怖かったので、予定の半分の量でへっぴり腰で発射した。
そのため、正確な破壊力や射程は不明だが、操作に慣れないと近くにいるのさえ怖い。
鉄砲は何度も動作確認した後に台座に固定して発射した。
こちらもよく飛んだ。
あまりの威力と轟音に、私はもちろん騎士団長まで往年の「押すなよ、絶対押すなよ!」状態だった。
もちろん、騎士団長の鬼気迫る表情にビビって押せなかった。
あそこで押せるのはホントにギャグでしかあり得ない。
「いやあ凄かった。あれに慣れんといかんとはなあ。」
「馬は暴れるでしょうね。」
「いや、ワシも暴れたぞ!」
「これを更に改良しているのですね。」
「はい、2号銃は中折れで弾丸と火薬一体型の物を後ろから込める銃ですし、3号大砲はもっと砲身の長いライフル砲を予定しています。」
「らいふるほう?」
「まあ、砲の中を見れば分かります。乞うご期待ということで。」
「これらを量産するのですね。」
「いや、これは将来の献上品。我が騎士団は最新鋭の兵器を装備させます。」
「これは作らないと?」
「ええ、すぐに2号銃の開発に移ります。そして、これ以降のタイプには銃剣も取り付けます。」
「ほう、銃に剣ですか。さすがにそれは扱いにくいですなあ。」
「可能なら銃兵は帯刀しない方向で行きたいんですよ。しかし、そうなると近接武器が無いですからね。」
「近接戦をするのですかな?」
「いえ、非常時のみです。使わなくて済むような戦い方が基本ですよ。」
「さすがは坊ちゃん。こういううこともお詳しいのですなあ。」
「まあ、机上の空論かも知れないけどね。」
後でヒューイ殿が何か騒いでいたので騎士団長を残して帰った。




