さらに無双する
さて、その夜の女子寮内。
「あら、こんな時間に珍しいじゃん!何?エル君と喧嘩でもしたぁ?」
「いいえ、私とエル君は非常に強い絆で結ばれております。喧嘩などあり得ません。」
「もうアーニャ、ホントに変わったよねえ。」
「平常運転ですわ。それより、リサに話があって参りました。」
「なによ、改まって。いい殿方でも紹介してくれるの?ねえねえ。」
「よく分かりましたね。そのとおりです。」
「へっ?何それ、本気なの?」
「本気の平常運転です。リサ、あなたケヴィンお兄様と一緒になりなさい。」
「えっ?いきなり何があったのよ。」
「単刀直入に言います。お兄様がリサの事を好いています。これはチャンスです。政略結婚ではありませんが、それと同等以上です。これ以上の条件はございません。」
「ホントあんたって子は・・・で、ケヴィン様の事は本当なの?」
「真実です。そして私は本気です。」
「そ、そのアーニャ?ウチは伯爵家だよ?アーニャだって元は皇族に嫁ぐ予定だったじゃない。公爵家ってそういう家だよ?」
「それはシュタインバッハ家からみた場合です。公爵家から申し出る場合は、その限りではありません。それに私が嫁ぐのも伯爵家です。問題などあろうはずがございません。」
「アンタの場合は特殊でしょ?」
「いいえ、気のせいです。」
「そ、その・・・だからと言って無理があるのは事実よ。」
「リサは嫌なのかしら?それならそうとハッキリ伝えるべきです。」
「いや、急にそんなこと言われてもねえ。」
「嫌なのですか?」
「そうじゃないわよ!そりゃあ・・・」
「将来あなたは公爵夫人になる。いや、ならなければならない。相思相愛なのに、互いが遠慮している間に引き裂かれてしまう。それは見るに堪えない辛いものです。今、この場で決めてしまいなさい。後は私が何とかいたします。」
「わ、分かったわよぅ。でも、私なんかでいいのかしら?」
「私は二人を幼い頃から見てきました。これは当てずっぽうではありません。最初から感じていた事です。そして、最近多くの経験を積んだことにより、確信に変わりました。私にとって一番の親友には、絶対に幸せを掴んで欲しいのです。」
「うん、分かったよ。」
「では早速、お兄様にお伝えしなければ、ああ、それとみんなにも重大発表をしないとですね。そちらもお任せ下さい。必ずや成功裏に導きます!」
「アーニャ!お願い、それだけはヤメて!」




