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リンツ伝  作者: レベル低下中
第二章 貴族学校編
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帝都に帰ってきた

帝国歴250年11月9日


 帝都に帰ってきた、という表現はどうも違和感がある。


 私にとって帰るべきは、あくまでロスリーなのである。

 なんて下らないことを考えながら、学生寮に帰ってきた。

 うん、やっぱり違和感ありありだ。


 ロスリーを発つ際は、屋敷のみんなに盛大に送り出された。

 また来年まで会えないと思うと何だか寂しい。


 ローサの誕生日も船の中。

 ロクに祝うことができなかったけど、それでも彼女はよろこんでくれる。

 本当にいい子だ。


 そして、今日はゆっくり休み、明日から登校する。

 友人達との再会。まあ、それだけは楽しみだ。



「今日は、みなさんにご挨拶をされないのですか?」

「明日サプライズ登場したいからね。」

「では、私もアルマさんへのご挨拶は明日にします。」

「すまないね。私に合わせてもらっちゃって。」

「いえ、とんでもございません。あの、ご主人様、お隣、よろしいでしょうか。」

「うん、いいよ、ローサからは珍しいね。」

「いえ、その・・・大切なお話が・・・」

「・・・ローサ?心配事?」

「いえ、そうではありませんけど・・・」


 まあ、真面目なローサが思い詰める事自体は珍しくないけど・・・


「その、アナスタシア様のことですけど、ご主人様はどうお考えですか?」

「どうって・・・最近、セバスや団長も同じ事言ってたけど、何にも無いからね。そりゃあ、綺麗だし、非の打ち所がない方だとは思うよ。むしろ、あのレベルでダメだった殿下のセンスを疑うくらいには。でも浮気はしないよ、絶対に、それだけは信じて。」

「あの、そうではなくて・・・その、お慕いしているか、です。」

「あの~ローサさん?あちらは公爵令嬢、こちらはただの貧乏伯爵家。無理だからね。どれだけ違うかを上手く説明できないけど、魚が空を飛ぶくらいには無理だからね。」


「でも、アナスタシア様はご主人様の事をお慕いしております。アルマさんもとても良いとおっしゃっております。私もお仕えするならアナスタシア様がいいんです。アナスタシア様とご結婚していただけるなら、私も第二夫人になってもいいです。もう、決心したのです!」

「へっ?・・・」

 また時が止まった。やっぱり夢かって、上手いこと言ってる場合じゃ無い!

 待って!今いいって言った?ヤバい!いや、でもそうじゃない!


 少し、頭を整理する時間をいただいてよろしいでしょうか?


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