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リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
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お金に余裕があるって?

帝国歴245年9月



 さて、新年度がスタートした。

 領民からむしり取った税の前年徴収分1200万ディリのうち、債務返済分550万ディリを早々に支払い650万ディリになってしまったが、僅かに元本も返済できた。

 これで父の言う「債務返済の目処」はクリアしたのではないかと思う。

 その上、騎士団員数が回復したとなると、もう文句は言わせない。


 いや、母への送金停止は文句言いたいだろうけど。


「さて、11月からの使役事業の予定も固まったね。」

「ええ、道路整備が多いですね。オーガブルクとウスターは全て道路整備です。」


「資金はどう?」

「近年稀に見る余裕です。何と言っても商品販売収入が毎月入ってきますからねえ。ロスリー商会は一体どれくらい儲けていることやら。」

「まあ、伯爵家を遙かに凌ぐことは間違いない。」


「しかしよろしかったのですか?当家の取り分が販売収益の1割というのは少々、良心的に過ぎるといいますか・・・」

「仕方ないよ、こちらは企画と許諾使用料しか請求できないから。でも、今後直営工場で生産するものについてはこちらが価格を決めるし、販売委託料しか商会に払う必要が無い。当家の収入は飛躍的にアップするはずだよ。」

「工場建設で当面の利益は飛んでいきますが。」


「ところで、先立つ物はどれくらいあるの?」

「予算とは別に600万ディリほど。まあ、購入した土地についてはこれから支払いですが。」

「そ、そんなにあったんだ・・・さすがセバス、やり繰りも上手いんだね・・・」

「今まではそれが本業でしたので。」

「何かごめんね。」

「まあ、私も最近では今年度の税収見込みが楽しみでしょうがないのですが。」

「私とは別の意味でブラックですね。」

「ほう、私はブラックなのですな。渋くて大変よろしいことと存じます。」


「そう言えば最寄りの銀行はどこにあるの?」

「ティグレという、エルリッヒ伯爵領都に帝国銀行の支店がございます。当家の口座もそこに。」


「不便だねえ。ロスリー商会と組んで支店を誘致してみる?」

「それは大変よろしい案かと。」

「政庁予定地の向かいがいいよね。」

「街道沿いの交差点ですからな、市内でもとびきりの立地でございます。」

「土地の値段上がってるんだよね。早めに確保したいんだけど。」

「商会から資金を借りるのが良いでしょう。」


 セバスには本当に敵わない・・・


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