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リンツ伝  作者: レベル低下中
第二章 貴族学校編
341/1781

祝賀パーティー

 いや、これは予想外。


 つい、「ローサと記念にお食事」って喋ったら、たちまち話は大きくなり、みんなで出版記念パーティーを開催することになった。

 場所はキース君のお屋敷の庭。

 バーベキューである。


「これは豪華な飾り付けだね。」

「うちは人夫だけはたくさんいるからね。」

「こんなに、食べきれるの?」

「派手に行こうぜ!」

「外でパーティーなんて初めてです。何だか心が弾みますね。」

「お酒は無いの?」

「えっ?リサさん飲むの?」

「飲まないけど?」

「ええ・・・」

 まあ、賑やかに始まる。

 いや、このメンバーで静かだったことなどない。


「さあ、ミス・ローサ、良い焼き加減ですので、お召し上がりを。」

「はい、ありがとうございます。」


「このソース、とてもスパイシーで美味しいわ。」

「これもリンツ食品加工工廠って書いてある。」

「うん、新商品の焼き肉のタレだね。」

「ほんとに手広く商売やってるんだね。」

「だいたいこの形のビンはリンツ家の製品だよね。」

「まあ、食品だろうと何だろうと、大量生産のガラスビンを使ってる。そうでもしないと容器の生産が間に合わないんだ。」


「もしかして、ソースと洗髪料が同じビン、とか?」

「製品によっては全く同じだったりする。特に直射日光に当てたくない製品なんかは、そうならざるを得ない。」

「へ~、色々事情があるんだね。」

「まあ、俺は美味けりゃそれでいいんだけどな。」


「お菓子もこんなにたくさん。」

「公爵家料理長とローサさんの合作だからね。」

「お嬢様、いくら美味しいといっても、食べ過ぎは禁物でございます。」

「わ、分かっておりますわよ。」


「でも、今食べておかないと、次いつ口に入るか分からないからね。」

「そうね。余所では絶対に手に入らない味だもん。」

「いや、エル君がミス・ローサを独り占めしなければいいだけなんだ。」

「何を言ってるんだ。譲らないぞ。」

「まあまあ、でも、お料理もお菓子も最高ですね。」

「それに、こういう開放的な場所で、気兼ねなくみんなで楽しくパーティーできるなんて最高だと思うよ。」


「そう言えば来週は創立記念パーティーだね。」

「ああ面倒くさっ、どうせ堅苦しいヤツでしょ。パスだよパス。」

「エル君、生徒は全員出席だってよ。」

「一人くらいいなくてもバレないよ。」

「いや、会場前で出席確認するらしい。」

「ご主人様、サボるのはお止めくださいね。」

「ほらほら、愛しのローサ様もこうおっしゃってる訳だし。」

 おいこらテメー!


「分かったよ、出席だけすればいいんだろ。」

「確かに、こんな楽しい場ではないよね。」

「お料理も。」


 残念ながらねって、アナスタシアさん。随分こっちに染まってきてない?


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