祝賀パーティー
いや、これは予想外。
つい、「ローサと記念にお食事」って喋ったら、たちまち話は大きくなり、みんなで出版記念パーティーを開催することになった。
場所はキース君のお屋敷の庭。
バーベキューである。
「これは豪華な飾り付けだね。」
「うちは人夫だけはたくさんいるからね。」
「こんなに、食べきれるの?」
「派手に行こうぜ!」
「外でパーティーなんて初めてです。何だか心が弾みますね。」
「お酒は無いの?」
「えっ?リサさん飲むの?」
「飲まないけど?」
「ええ・・・」
まあ、賑やかに始まる。
いや、このメンバーで静かだったことなどない。
「さあ、ミス・ローサ、良い焼き加減ですので、お召し上がりを。」
「はい、ありがとうございます。」
「このソース、とてもスパイシーで美味しいわ。」
「これもリンツ食品加工工廠って書いてある。」
「うん、新商品の焼き肉のタレだね。」
「ほんとに手広く商売やってるんだね。」
「だいたいこの形のビンはリンツ家の製品だよね。」
「まあ、食品だろうと何だろうと、大量生産のガラスビンを使ってる。そうでもしないと容器の生産が間に合わないんだ。」
「もしかして、ソースと洗髪料が同じビン、とか?」
「製品によっては全く同じだったりする。特に直射日光に当てたくない製品なんかは、そうならざるを得ない。」
「へ~、色々事情があるんだね。」
「まあ、俺は美味けりゃそれでいいんだけどな。」
「お菓子もこんなにたくさん。」
「公爵家料理長とローサさんの合作だからね。」
「お嬢様、いくら美味しいといっても、食べ過ぎは禁物でございます。」
「わ、分かっておりますわよ。」
「でも、今食べておかないと、次いつ口に入るか分からないからね。」
「そうね。余所では絶対に手に入らない味だもん。」
「いや、エル君がミス・ローサを独り占めしなければいいだけなんだ。」
「何を言ってるんだ。譲らないぞ。」
「まあまあ、でも、お料理もお菓子も最高ですね。」
「それに、こういう開放的な場所で、気兼ねなくみんなで楽しくパーティーできるなんて最高だと思うよ。」
「そう言えば来週は創立記念パーティーだね。」
「ああ面倒くさっ、どうせ堅苦しいヤツでしょ。パスだよパス。」
「エル君、生徒は全員出席だってよ。」
「一人くらいいなくてもバレないよ。」
「いや、会場前で出席確認するらしい。」
「ご主人様、サボるのはお止めくださいね。」
「ほらほら、愛しのローサ様もこうおっしゃってる訳だし。」
おいこらテメー!
「分かったよ、出席だけすればいいんだろ。」
「確かに、こんな楽しい場ではないよね。」
「お料理も。」
残念ながらねって、アナスタシアさん。随分こっちに染まってきてない?




