こういうのも楽しみの一つ
「皆さん、どうぞお入りになって。」
「失礼いたします。」
みんな若干緊張気味。特にノルト君。
「こちらが、私のお付きのローサです。」
「まあ、こちらがあのローサさんですね。アナスタシアです。どうぞよろしく。」
「初めまして、ローサです。どうぞよろしくお願いします。」
「こちらは、私の専属従者をしております、アルマです。」
「アルマです。いつもお嬢様がお世話になっております。」
「わざわざご丁寧にありがとうございます。級友のエルハバードです。」
「ではアルマ、ローサさんをご案内して。」
「畏まりました。」
ローサとアルマさんは調理場に向かう。
するとアナスタシアさんが耳元で、
「エル君、なかなか可憐な方ですね。」
アナスタシアさんも、そういう顔もすることあるのね・・・
「あ、ああ、そーだねー。」
思わず声が上ずる。
「フフフ、エル君のそのようなお顔、とても貴重ですわ。」
「いやあ、あまり見せられたものではありませんが・・・」
「いいえ、とても良い物を見せていただきました!」
そんなにニコニコされても・・・
何かいたたまれなくなったので、会議室に退散する・・・
屋敷の広い会議室に多くの資料が並べられ、まとめの議論が始まる。
「今回は、統治機構のあり方について議論したいと思います。」
「騎士団の人数は全体的に圧縮すべきです。大きな財政負担になっています。」
「でも、兵役は義務だから・・・」
「農民を一定期間訓練し、有事に動員する方法がよいのではないですか。」
「半農半兵の考えですね。一時的にはそれもやむを得ないのではないでしょうか。」
「しかし、元々騎士が多い場合はどうします?」
「リンツ領は増加させたよね、これはどうして?」
「うちは元々少なすぎた。今でも千人ちょっとしかいない。国境警備や治安維持、災害支援、外洋航路維持が任務として付加されているし、新兵器もにわか動員の農兵では扱えない。うちは参考にならないと思う。」
うん?なんか向こうで人の気配があるけど・・・
まあいいか。
「それでは、適正な数ってどのくらいかな?」
「予算規模、領内人口のほか、給与水準と階級ごとの人数から判断するしかないね。」
「目安を示すに止める、とか。」
「そうだね、貴族の支出構造を総合的に見ないといけないかな。」
「爵位が上がると兵役負担も増すからねえ。」
「でも、常時雇用できる数を超える負担は一般動員とせざるを得ないよ。」
「そうだね。軍拡が目的の論文じゃないもんね。」
話の内容は休日っぽくないけど、友人の家に上がり込んで過ごす休日は悪くないと思う。




