表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リンツ伝  作者: レベル低下中
第二章 貴族学校編
324/1781

これって自由研究だよね

「・・・・・」

「随分、恐ろしい結末が見えましたね。」


「じゃあ、領民を押さえつけて豊かにしない今の状況も、悪い意味では理に適っているということかな?」

「いや、私はそうは思わない。今の貨幣経済の浸透は、最早誰にも止められない。である以上、もしこの帝国が国民を豊かにしない方針を取れば、そうしなかった隣国に淘汰される。豊かさは武器だし、戦争は経済力が物を言うからね。」

「なるほど、そのためにはこの論文の指し示す行動を取らないと、いえ、取らざるを得ないということですね。」


「つまり、領地経営マニュアルがその一助になると。」

「そう考えると、とんでもない物を作ってるような気がしてきました。」

「でも、だからと言って作らない訳にはいかないよ。」

「はいはーい!難しいことは一旦置いて、お茶しない!」

「リサさん、お茶よりいい味出してるよ・・・」



「結局、民の生活を良くする以外の道はないんだね。」

「それでも、良くしない領主は多いけどね。」

「それもいつまでもは続かないよ。人は常に進歩を求める。昨日より今日、今日より明日、より良い生活を求め続けるのが自然な姿なんだ。それを無理に押さえるのは不自然、不自然なものは、やがて破綻する。」


「エル君が何だか学年主席に見えてきた。」

「19番だよ。」

「そうですね。哲学が54位とは、とても思えません。」

「我考えない、故に我なし。」

「それ、誰の言葉?」

「ただの思いつきだよ。実際、哲学なんて難解な学問、私の手には負えないよ。」


「そういえば、領民の生活を良くするために教育を行うんだよね、そして識字率が上がり、貨幣経済がより浸透し、人口が増え、民衆が力を得る。どうやっても貴族の力が落ちる要因にしか繋がらないね。」


「そうだね。その認識で正しいと私も思うよ。貴族の数なんて一代限りの騎士爵を合わせても7万人弱、人口の0.6%程度だ。ここに帝国の富の7割が集中しているからこそ、今の体制は維持できている。でも貨幣経済の拡大は、必ず王侯貴族の影響力を相対的に低下させる。そうなった時には、僅か0.6%しかいない特権階級なんて消し飛ぶよ。」


「そうならないための領地経営が必要なんだね。」

「私だって消し飛ぶ側の人間だからね。悪あがきしてるんだよ。」

「エル君の予測、当たりそうで怖いですね。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ