失言製造機爆誕
さて、本日はゴホーク炭鉱視察である。
ゴホーク村はロスリーの北にある山間部で、直線距離なら近いが、道は川沿いで曲がりくねっている。
行きはほぼ登りで5時間、帰りはほぼ下りで3時間もかかる。
山また山の土地であるが、団長のおっちゃんの領地である。
「坊ちゃんに来ていただくのは初めてですなあ。」
「ゴホーク殿も普段は、ほぼロスリーに住んでおられますし。」
「旦那様も若いときに一度来たっきりじゃなかったかな。山鳥を捕まえて馳走したことを覚えとるわい。」
「父上は昔からあんな感じだったんですか?」
「まあ、不器用な御仁故、あんな感じ以外は無理じゃな。悪人ではないが、ワッハッハ!」
今日も絶好調のようで何より。
「戦場でも?」
「あれほど上官の命令を聞かん人も珍しい。まさに糸の無い凧だ。止めるのに苦労したぞ。」
「ゴホーク殿も一緒になって暴走してたのでは?」
「ないない。さすがにあれは酷い。血風と異名を取る豪傑であることは間違いないが、あれは転げ落ちる岩だな。止まることを知らんし言葉も通じん。止めるのに必死で、一緒に悪ノリしようなんて気にはとてもならんかったワイ。」
失言である。
確かにそれは酷いとは思うが・・・
「着いたな、これがゴホーク村じゃ、随分人も増えたな。これなら税金の取り立てが楽しみじゃわい。ワッハッハ!」
失言は続く。
「確かにゴホークには昔来たことがありましたが、人の賑わいは最早町と言ってもよい。」
「そうじゃろうそうじゃろう。これも坊ちゃんのおかげよ!笑いが止まらん!」
そして採掘現場は、ここから人が見えるほど集落に近い。
「こんなに近くなんですか?集落がすぐそこに見えますが。」
「そうよ。昔から黒くて硬くもろい石があることは皆知っておったが、これがまさか金になるとはなあ。だいたい、石が燃えるなんぞ知らんかったわい。ほらあれ、人がまるでゴミのようじゃわい。ワッハッハ!」
ついに言いやがったよ!失言オヤジ。
「ところで、鉱脈はどこからどこまでですかな?」
「おう、ずっと上からじゃ。しかし山の一番上の方は違う。穴を掘るのはもったいないが、露天では掘れぬ。どうしたもんかのう。」
「差し当たって、鉱脈がどこまであるかを知りたいので、行ける所まで掘り進めてもらえますか。それと爆発や火災の恐れがありますので慎重に、火気厳禁でお願いします。」
今日は何かが爆誕したような気がするが、ここは火気厳禁なのでそっとしておく。




