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リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
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半年暮らしてみて

 季節は巡りすっかり冬。

 今回の夢はやたらと長い。まだ私を憂鬱な現実に引き戻すベルが鳴らない。


 あの後、程なくして離乳食になって、すり下ろしたリンゴなどが貰えるようになった。

 まだまだ単調な食事メニューに不満は尽きないが、あのまま母乳が続いていたら、間違いなく夢を強制終了させるべく全力で力んでいただろう。ちなみに、夢と分かっている状態なら本気で起きようと思えばできた・・・はず。

 また、筋トレの甲斐あって、すでに歩くことができるようになっている。


 すぐさまトイレを自分でできるよう練習したが、メイドさんたちが大変驚き、そして喜んでくれているのが分かった。もうすぐトイレもマスターできそうだし、今でも漏らす前に意思を伝えることはできる。


 もう一つの言語習得であるが、こちらはさすがに難しい。


 だが、メイドさんの名前は分かった。年上がマリアさんで、若干若いのがオルガさん。

 しかし解せないのが、お二方とも海外ではごく一般的な名前なのに、なぜ最初にリスニングできなかったのか。しかも、名前は理解できたのに他の単語はさっぱり分からない。

 例えば、日本で育った外国人子女は基本的に母国語が苦手、といった話を聞くが、私の耳がこの地の言語に対応できるように成長したという面と、反面、それだけでは、この未知の言語をマスターできない、ということなのだろうか。


 また、これまでの事を整理していて分かったことだが、「エルなんとか」という単語を多く聞く。おそらく、これが私の名前ではないかと推測する。

 ソウタでは無い模様。

 また、父らしき人は何度か会った。これはマリアさんたちの雰囲気から察したのであり、大変偉そうな人であった。


 そして母らしき人はいない。授乳してくれていた女性は、離乳期に入って一度も会っていないので、あの方はいわゆる乳母なのだろう。出産時に母親が亡くなる不幸は往々にして起こることであり、まして中世レベルの医療では、そういうこともあり得ると考えていた方が良い。

 単なる夢なのに、設定がやたら具体的でシビアだなあと思う。


 そのほか、この家には執事もいた。名前はよく聞き取れないが多分、セバスチャン。

 何となくそう聞こえるのと、やはり異世界モノの執事はセバスチャンでなければならない。少なくとも、この手の物語の執事名におけるセバスチャン率は70%を超えているのではないかと思う。


 所詮、私の夢なので、きっとセバスチャンとマリアさんはデフォである、そう思って間違いない。


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