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リンツ伝  作者: レベル低下中
第二章 貴族学校編
295/1781

準決勝第一試合

「やっぱりエル君が上がってきたね。」

「レイ君こそ予想通りだよ。」

「練習の成果だね。父も喜んでくれるよ。」


 レイ君とともに、選手の待機場所に移動する。

 すでにお互いの対戦相手も待機している。

 二人ともご令嬢だ、男子どうした。


「レイナード卿、リサ・シュタインバッハです。よろしくお願いします。」

「こ、これはシュタインバッハ伯爵令嬢、レイナード・ローゼンブルクです。よ、よろしくお願いしましゅ。」

 噛んだ。こういうとこ、レイ君だよね。

 二人は握手する。


「エルハバード卿、初日にご挨拶して以来ですね。アナスタシア・ボーエンです。良い試合にしましょう。よろしくお願いします。」

「これはご丁寧に、ボーエン公爵令嬢。エルハバードです。胸を借りるつもりで頑張りますので、よろしくお願いします。」

「第一試合を始めます。選手は前へ!」

 第一試合はレイ君とシュタインバッハ嬢の対戦だ。

 二人とも片手剣。


「始め!」

 まず両者、後ろに下がり間合いを確かめる。

 そして軽く牽制。どうやらご令嬢の方が積極的に攻めに回るようだ。

 レイ君にとっては願ってもない展開。


「どうやらほぼ互角のようです。卿はどちらが勝つと見込まれますか。」

「う~ん、まだ分かりません。でもお互い、得意な形に持ち込んだと思います。」

「ええ、私もそう思います。でもレイナード卿はリサの攻撃に全く動じておりません。リサも、あのまま攻め続けるのは、体力的に無理があります。」


「レイ君とは、毎朝一緒に練習しておりますが、典型的な大将の剣です。守りを固め、不意の一撃を止めさえすれば、後は部下がトドメを刺す。そういった前提の剣です。彼の立場からすれば理に適っていますよね。」

「確かにそうですね。リサには相性が悪すぎます。レイナード卿は、ほとんどその場から動いておりませんし。」

「確かに・・・」


 激しい打ち合いが5分以上続いたが、シュタインバッハ嬢は息が上がってきた。

 ここでレイ君が出る。

 共に練習していたとはいえ、彼が打って出る姿はあまり見たことがないのだ。

 そして彼女の剣が打ち落とされる。

「そこまで!勝者、レイナード君。」


「次は私達ですね。」

「ええ、少しは耐えてみせます。」


 二人は中央に進む。


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