休日はお出かけ
学校は月曜から土曜まで毎日ある。
というかこの時代、休日という概念はない。
いや、ほとんど無い。
ただ、学校では日曜日が休講日となっている。
毎日授業では、教師も授業の準備が間に合わないし、生徒の中には貴族家の当主だっている、はず。
毎日勉強ばかりでは、何かと都合が悪いのも事実である。
ということで、毎週日曜はローサとお出かけの日なのである。
しかし、帝都がいくら都会だといっても、先進的な町ロスリーを知る者からすれば、物足りない。
なんか、大きなロプスドールといった感じで、新鮮な驚きなど何もない。
仕方が無いので、そこそこ高級街で食事したり、南通りに店を構えるロスリー商会に顔を出すのが最近の定番コースとなっている。
「こうして一緒に出かけるってだけで楽しいなあ。季節もいいし天気もいい。」
「本当に。私もご主人様とこうして歩いているだけで、とても楽しいです。」
「そうだよねえ。しかも仕事に追われることなく、ゆったりした気持ちでいられる。」
「ご主人様はいつもお忙しかったですものね。」
「セバス、無理してないかなあ。」
「そうですね。少し心配ですね。」
「こういう時の補佐役を用意しておけばよかったのかなあ。」
「大丈夫です。政庁の方々もおりますし、何かあればお手紙でご連絡されるはずです。」
「いや、セバスだからね。そこは無理しそう。」
「では、今度のお手紙で励ましになられてはいかがでしょう。」
「さすが、そういう心配りはローサだねえ、って、その手は何?」
「い、いいえ、な、何でも・・・」
フフフッ、私も学習するのだよ、ローサ君。
「お昼はここでいい?」
「はい、ここはとても美味しいですから。」
さすがローサ、こんな味でも決してけなさない。ホントにいい子!
「でも、さすがにロスリーのお料理は、まだこちらに伝わっておりませんね。」
「そうだね。食品加工工廠の製品が、まだほとんど帝都に出回ってないからね。」
「材料がないということですね。」
「うん、腐りやすいものも多いから、保存技術を上げるか、こっちに工場を建てないと無理だろうね。」
「それは少し残念ですね。あの味を、もっと多くの方に知って欲しいと思います。」
ジョセフ、ヤン喜べ!
「そうだね。貿易が安定したら、帝都進出も考えるよ。」
こんな感じで休日は過ぎていく。




