屋敷の昼下がり
「はい皆さん、休憩時間です。」
「ああああ!やっと休憩ね。働いた後はしっかり休憩取らないとダメよ。」
「しっかり働いたならね!」
「あらあら、今日も仲良しさんですこと。」
「ウルがいっつも意地悪な事言うんです。昔はお姉ちゃーんって甘えてばかりだったのに。」
「あの頃の自分をぶん殴ってやりたいわ。」
「アタシが代わりに殴って!」
「あんたたち、いい加減にしなさい!」
「そうですわよ、お休みの時まで元気を出さなくても、よろしいのですよ。」
「け、喧嘩はよくないです。」
やっと休憩するようだ。
「オルガ、ローサがいなくなると、寂しくなるわね。」
「そうですね。マリアも若旦那様がいなくなると、お寂しいのでは?」
「ええ、生まれた時からずっとお世話させていただきましたから。」
「そうでしたね。私もローサちゃんはたった一人の娘ですから。少しだけ寂しいですわ。」
「そうねえ、ホントにいい子に育ったわねえ。」
「ええ、ですので、少し旅をさせてもいいのでは、と思いまして。若旦那様と一緒なら安心ですしね。」
「そうね、若様なら絶対大丈夫。でも、そう分かっていても、寂しいのよねえ。」
「マリア。3年したら帰って来ますわ。」
「オルガ、あんたも強くなったねえ。」
「いいえ、マリアや、お屋敷のみんなが居てくれたからこそです。」
「ふーん。てっきりアンタも帝都に行くかと思ったのに。」
「いいえ、私の一番大切なものは、ここロスリーにあります。若旦那様とローサちゃんがいない間、私はここでお留守番をすることに決めておりますの。」
「そうねえ、この屋敷も、この街も、とてもいいものねえ。」
「ええ、心やすらぐ、とってもよい場所になりました。」
「あの二人のおかげだねえ。」
「あと、皆さんの。私は特にマリアに感謝しておりますのよ。」
「ありがとさん。なあに、大したことは何もしちゃいないよ。」
「いえ、私の大切で頼りがいのあるお姉さんです。」
「アイリーンみたいな?」
「うふふっ、そうですね。ウルさんもアイリーンさんがいないと、とっても寂しそうですから、同じですね。」
「そう言ってもらえると、嬉しいねえ・・・」
そうして静かに過ぎる、夏の昼下がり。




