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リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
251/1781

奴隷解放

 ついに市役所から、ローサに関する手続き書類が届いた。


 約1ヶ月を要したが、これで万が一にも前所有者から文句を言われることはないだろう。

 まあ、伯爵家に文句を言おうものなら・・・

 黒い、黒すぎる・・・


 この1ヶ月間、待ち遠しかったが、いろいろもあった。

 何と言っても温泉回、もといお風呂事件があった。

 オルガさんに唆されたようだが、お互い一糸まとわぬ状態で鉢合わせることになった。

 大人って怖いな、と思った。

 それはさておき、執務室にローサを呼ぶ。


「ご主人様、ただ今まいりました。」

「うん、忙しい所すまぬな、今日はいろいろ伝えたいことがあってな。」

 毎日顔を合わせてるのに何だって?

 そりゃ、ご主人様だよ。

 若旦那様だよ?

 いいじゃない、ちょっと偉そうにしたって!


「まず、そなたを私の専属とした。仕事は今まで通りで構わないが、立場は異なる。知っての通り、私は9月から帝都に行くことになるが、これに同行して欲しい。」

「はい、よろこんでお伴いたします。」


「それとこの2通の書類を渡す。ローサのものだから大切にするように。」

「はい。拝見してもよろしいでしょうか。」

「うむ。」

もうダメ!限界!うむだって・・・


「これは・・・その・・・・ローサ・リンツ・・・」

「うん、ローサを養女にした。戸籍がないと何かと不便だからね。まあ、ローサのほうが年は上だけど、まあ、いいでしょ。」

 さすがに、伯爵家の養女は父の承諾が必要だが、男爵家の養女なら私が勝手にできる、はず・・・

 そう思っていると彼女の目からは涙が。


「ありがとうございます。私のような者に・・・その、このようなもったいない。でも、とても嬉しいです。本当に、ありがとうございます。」

「もう、出自や身分を気にしてはダメだよ。」

「はい、ご主人様。」

 行ける、流れは来てる!ここで更に押すのだ!


「ローサ、私と結婚しよう。」

「・・・ご主人様、そ、それはなりません。お気持ちは大変嬉しいのですが、その、私のような者では、ご主人様の名もこのリンツ家の名も汚してしまいます。大切なご主人様だからこそ、立派な奥方様をお迎えしていただきたいと思います。」

 ガーン!

 流れ、見えたよね、ビッグな・・・


「で、でも、お気持ちは嬉しいのです。ご主人様?お気を確かに。」

 無理、お気を確かになんて無理!

 でも、押しには弱そうなんだけどなあ・・・


 でも私自身、押す力が弱いからなあ・・・


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