技術の伝播
トウワの国からやってきた4人の技術者。
ジンザ、ロクロー、ヘイジ、ヒョウエという名前だそうだ。
聞けば彼らは皆、商家の奉公人だったそうだ。
今は冬なので、農業指導はお預けだが、東大陸から種麹を持ち込んだ。
これで味噌や醤油を量産できるし、清酒も大丈夫だろう。
そして染め物職人のヘイジさんはブリギッテさんに預けた。
た、多分大丈夫、だと思う・・・
ヒョウエさんには通訳の傍ら、翻訳辞書の作成にも協力してもらうことになった。
みんな温厚そうで何より。
まあ、あの長い航海に我慢できる人たちだ。
この地での生活も大丈夫だと思う。
今はエネル商会が用意した家に住んでいるが、希望があれば彼らの住みやすい家を新たに建ててもよい。
とにかく好待遇で好印象を持ってもらうことが重要だ。
次は陶芸や鍛冶師なんかもいいな。
「・・・米の栽培には水、湿地が必要とのことです。」
通訳3人を介したコミュニケーションはなかなか大変であるが、彼らは船の中でもそうだったらしく、慣れたものだ。
「こちらにはニーウェイという場所に米栽培に適した土地があるので大丈夫。ところで、蕎麦は作れるか?」
「よく知らないが、大丈夫だと思う、だそうです。」
「野菜の種はどんなものを持ってきましたか。」
「大根、芹、ゴボウ、自然薯、ミョウガ、レンコン、ネギ、ニラだそうです。」
「たくさん持ってきてくれてありがとう。」
「醤油と味噌ならすぐに作れるが。」
「原料の大豆が大量に入手できるまでは、少しづつ作っていきたい。」
「酒も造れるが、どうする。」
「酒母が作れるのか?」
「大丈夫、とのことです。」
「これが、こちらの酒でワインという。お礼だから受け取って欲しい。」
「ありがとう、こちらにも珍しいものがたくさんある、と申しております。」
南蛮渡来品だらけだもんね。
「給料も出すから、欲しい物は買って帰るといい。」
「ありがとう、聞いてくれれば何でも教える、とのことです。」
「では、蒲鉾と天ぷらは分かるかな。魚をすり潰して味付けして焼いたものと、食材に小麦粉をまぶして油で揚げたものだけど。」
「蒲鉾は分かるそうです。それにしても、よくそんな物知ってるなと、驚いています。」
また大きな収穫があった。




