陛下との謁見
「第三近衛騎士団長ミハエル・リンツ、同家子息エルハバード、ただ今参上つかまつりました。」
「面を上げよ。」
一度目は上げないのがルール。
これならボーっとしてても安心だ。
「面を上げよ。」
ゆっくり顔を上げる。堂々とした風格、まさに皇帝、といった感じだ。
意外に若い。
「本日は謁見の栄誉を賜り、誠に光栄至極に存じます。こちらが我が愚息、エルハバードにございます。」
「うん、よくぞ参った。遠路大儀である。今回呼んだのは、先般の戦のこと。これについては我が帝国の法を犯したシュバイツァーをよくぞ打ち破った。褒めてつかわす。」
「ありがたきお言葉、恐悦至極にございます。」
「うん、その際、新型の兵器を使用し、賊を撃破したこと、調停人から聞いておる。何でも前代未聞の破壊力があるとか・・・そなた、謀反でも企んでおったか?」
やっぱりそっちか~
「いいえ、滅相もございません。当方、寡兵ゆえ、新たな装備を苦心して開発し、装備していたに過ぎません。私共も初めて使用したもので、まさかあれほどの威力があるとは知らずに所持していたものにございます。」
「まあ、隠し持っていたことについては不問に処そう。して、それは献上できるか。」
「はっ。」
「数はどのくらい揃う。」
「製造に手間がかかるものですので、鉄砲なら年間200、大砲は20が限度かと。」
「ならばそれでよい。毎年献上せよ。とはいっても、ただ献上させるだけでは芸がないな。それではエルハバードよ、そちに男爵位と第三等黒竜勲章を授ける。」
イラネー・・・
「はっ、ありがたき幸せ。大変な名誉に心打ち震える思いでございます。」
「うん。これからも励め。して、その方、随分と年少に見えるが歳はいくつだ。」
「11にございます。」
「ほう、うちの倅も同い年だが、来年には貴族学校に入学するのか?」
「いえ、恐れながら、私は地方貴族ですので、領地経営に専念したいと考えております。」
「ほう?しかし、いかに地方貴族とはいえ、人脈は必要だ。そしてそれは皇太子にとっても同じ事。エルハバードよ、必ず貴族学校に入り、次代を担う人材と誼を結べ、これは余からの命令だ。」
「・・・・」
「はっ!陛下、必ずこの愚息を入学させます。」
「うん、よろしい。では、下がってよいぞ。」
謁見ってこんな感じなんだ~って、貴族学校に入学?




