浦島さん、依然戻らず
帝国歴248年8月
領内では休暇の時期である。
お疲れ気味の政庁職員にも、休みを取らせた。
しかし、しかしである。
肝心の私に休みが1日しかない。
これは、どういうことだ。
ブラック、ブラッカー、ブラッケストである。
もう何言ってんのか訳分かんない!
そんな中、未だに時代の流れに追いついていない自分がいる。
はっきり言えば仕事が溜まっている。
浦島さんリターンズなのである。ああ、もう!
ということで、定期報告に目をやる。
まず、シュバイツァー家から賠償金の一部1,000万ディリが支払われた。
かなりの大金であるが、国内有数の大商会と言えど、一括払いは難しいようだ。
噂によると商会の経営はかなり厳しいらしい。
これは倒産する前に何としてもふんだくらなければ!
また、新領地を得た騎士爵の引っ越しも始まった。
ニーウェイ、ハガ-、オーガブルクの3家は既に領地に入り、新たな家臣団構築に入ったとのこと。
アッサムでも酷暑の中、瓦礫の撤去が始まった。近くの河川敷に集積しているらしい。
また、同地の振興策として化学肥料生産を目的とする化学第四工廠の建設も決まった。
これから用地獲得に乗り出すが、出来れば年内に着工したい。
スーディル軍港も埋め立てが進んでいるが、先に造船工廠のドックと建屋が完成した。
今後は軍艦用の埠頭も形になってくるだろう。
同じくスーディルでは下水工事が本格化している。
第二、第三下水路も掘削が始まっており、こちらも年内の処理場接続を目指している。
医薬品でも成果が出た。
B型肝炎、A型肝炎、コレラのワクチンの開発に成功した。
いずれも不活性ワクチンであるが、今後も技術を向上させ、より短期間での開発が可能になるよう努めたいとのこと。
なお、論文も作成中であり、学会に発表するのだそうだ。
そして、どこに紛れていたのか、9月からの予算書が下の方から出てきた。
何と、10,300万ディリ!1億超えである。
おそらく、シュバイツァーを除いた数字であろう。
というより、シュバイツァーが徴収していた税金ってどうなったの?
まあ、それはさておき、とんでもない数字になっている。4年前の十倍ではないか!
急にニマニマしてきた。
薄れかけていた浦島さんの意識は戻ってきた!




