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リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
202/1781

緒戦、いや決戦?

帝国歴248年4月15日



 エルハバード率いるリンツ軍本隊はコートに着陣し、敵に備える。

 既に大砲を前方の山に担ぎ上げ、稜線上の木も伐採され始めている。


「しかし、男爵の関与が判明してからここまで、あまりに急なことで・・・」

「戦場では指揮官が代わった時に、しばしば起こることですぞ。そして、その指揮官の言うことを聞かんのが、旦那様です。」

「それは困りますね。」

「敵も味方も皆敵じゃー!は名言でしたぞ。」

 あんまりだ、あんまりすぎる。


「敵影、峠から確認できたそうです。数はおよそ2,000。」

「この狭い街道に2,000とは、山を越えて奇襲とか、何か芸があれば面白いんじゃが。」


「では、砲兵に戦闘が始まるまで砲撃しないよう、伝えて下さい。」

「ほう、機先を制する訳ではないと。」

「ええ、敵の陣形が細長いなら、先に撃たず、戦闘が始まった後に、敵の後方へ撃ち込んだ方が効果があります。」

「なるほど、こちらは広い場所に鉄砲隊を並べておりますからなあ。寡兵であっても負ける気がしませんわい。」


 そして翌日未明。


「敵が見えました!」

「よし、鉄砲隊は柵より前には絶対出るなよ。街道は狭い、適当に撃っても必ず誰かには当たる。日頃の訓練の成果、ご領主様に拝見してもらえ。」

「おぅっ!」


 敵が山道を曲がって、眼前に現れる。

 集落の入口付近に陣取る味方は、街道方向に一斉に射撃を始める。

 敵は、集落入口のほんのわずかな広場で陣形を整えようとしたが、斉射を受けて退く。

 そして山上から砲声が轟く。


 山裾に遮られて見えないが、馬の嘶きが聞こえる。

 大混乱しているようだ。

 そして近くで爆発。

 ここにきて地雷が破裂したようだ。


「ようし、敵は乱れた、騎馬隊を先頭に短槍隊、ワシに続け!」

 騎馬隊と歩兵隊が街道沿い、鉄砲隊が街道の法面を進む。


 私も騎乗して騎士団長に続く。

 カーブを曲がるとすでに乱戦模様。そして・・・


「あっ!!」

 そのまま落馬する・・・


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