両軍動く
「では、トスパン殿、そなたに全軍の指揮を任せる。存分に功を挙げてくるがよい。」
「はっ、お任せあれ。」
「トレド殿もよろしく。ああ、それとマルク=マリス、アッサム、見事に汚名をそそいでまいれ。」
「はっ、畏まりました。」
4月13日、シュバイツァー軍総勢4,000名は、領都ロプスドールを出立した。
この動きは、間者や斥候を通じて、直ちにリンツ側にも伝わる。
「敵が動き出しましたな。」
「そうですね、交渉ができない今、戦いは避けられないでしょう。」
「ワッハッハ!ワシはこれを望んでおったから大歓迎じゃワイ!」
「それでは、作戦を指示します。まず、我が軍は騎士団700名、動員兵1,000名の合わせて1,700。動員兵はこちらが指示するまで、全て輜重部隊に充ててください。こちらはオツテンブルク、アッサム、デ=ロペン峠の3方面で敵を迎え撃ちます。まず、オツテンブルクの関所はサッツ殿の麾下50名と騎士団50名を配置し、これに鉄砲50、2号砲3門、照明弾50発、ダイナマイト300本を配備します。アッサム峠の関所は副団長はじめ騎士団100名を配置、同じく鉄砲、2号大砲、ダイナマイトを配備します。残る本隊500は私と騎士団長が率いてデ=ロペン峠方面に布陣します。サッツ殿、ウェステン殿の両名は関所の防衛に専念し、こちらの指示が無い限り、打って出ないよう、厳命します。また、両名に動員兵をそれぞれ200名配置します。」
「了解しました。」
「では騎士団長、この見取り図に従い、本隊の作戦を説明します。我々の本陣はここ、コートの集落跡とします。そして本陣の先、この山が張り出しジル川が大きく蛇行する地点の稜線上に大砲を4門設置、上流側の街道に撃ち下ろせるようにします。さらにデ=ロペン峠の柵は破壊し、最初のカーブに地雷を設置、さらに大砲を設置した地点から見て最初のカーブ、ここのカーブしている途中にもう1カ所、地雷を設置します。」
「ほう、坊ちゃん。なかなか地の利を得た配置ですなあ。初陣とは思えん。」
「徹夜で考えました、なんということはありません。」
「しかし、地雷を使うのですな。」
「ええ、敵の隊列を乱し、足を鈍らせる事ができればと考えました。」
「しかし、あれは草むらならともかく、道ではバレてしまうのでは?」
「道に横断溝を掘り、地雷を敷設し、上は薄い板と土で覆います。」
「分かった。至急工兵を募り、設置しましょう。さあて、久しぶりの戦闘じゃ!腕が鳴りますワイ!」
私は嫌で嫌で堪らないんですけど・・・




