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リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
199/1781

盗人猛々しい

 その日のうちにサッツがロスリー入りし、再度の打ち合わせ。


「分かりました。では、男爵のこれまでの行いに抗議し、賠償と再発防止を要求するのですな。」

「ええ、恐らくは知らぬ存ぜぬ、悪ければ門前払いでしょうが、こちらは全て誠実に手を尽くした、という事実を残すことに意義があります。面倒な役目ですが、よろしくお願いします。」

「ええ、分かりました。」


「しかし、何でこの時期にいきなり・・・」

「まあ、いきなり人数が倍になるというのは盗賊ではあり得ません。何か本格的な軍事行動に切り替わったように思います。」


「つまり、もう隠す気がないと。」

「まあ、突然開門するという、こちらの突拍子も無い作戦で起きた偶発的な結果、という線も可能性としてはございますが、50人規模で攻撃してきたということは、本気で落とすつもりではあったのでしょうな。」


「では、今回こちらに犯行がバレたことによって、違った動きになることも考えられますね。」

「ええ、バレなければ、もしかしたら状況は変わらなかったかも知れません。ただ、男爵側の準備は、裏工作を含めて完了していると考えた方が良いでしょう。」


「戦になる公算は?」

「麦の播種も終わっておるでしょうからな。短期決戦を目論んでおるなら、良い頃合いでしょう。」

「では、斥候と敵領内の諜報を強化しましょう。」

「そうですな。」

「では、私はすぐに出立しますので、御免!」


「戦かあ、嫌だなあ。」

「シュバイツァーは生粋の騎士ではございません。それほど心配なさらなくても。」

「でも兵力は相手がかなり上回っているんでしょう。」

「兵の数だけで決まるものではございませんし、もし戦になったとしても、こちらは関所で防戦することになります。」

「そうだね。最悪の場合、出陣するから、後の事はお願いね。」


「坊ちゃん、出陣されるおつもりですか。」

「うん。そりゃ嫌だけど、大将が出ないと士気が上がらないし・・・」


 その後、シュバイツァーとの交渉は門前払いだったそうだ。

 そして、敵領内で領民動員の動きが起きているとの情報が入る。


 ああ、最悪だ・・・


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