2隻の巨船
また、いつものスーディル造船所・・・
「もう、貿易船も完成間近ですね。」
「ええ、前の船も大きかったですが、こちらはその3割増しですから。」
「最初に聞いたときより、大きい気がしますが。」
「途中で設計変更しましたし、竜骨もより大きい物にしました。おかげで少し遅れておりますが、いい船に仕上がりそうですよ。」
「シュテルネンゼー号ですか、副会長、ロマンチストですね。」
「海の男は皆そうですよ。ところで、ご依頼の件があるとか。」
「ええ、東大陸の件ですが、パンジャン王国とイェン王国を目指すんですよね。」
「はい、そのためにジャルーガル語とミンチャー語の通訳を確保しましたから、両方の港を一度に目指します。」
「その東大陸でも東にある、えっと。」
「イェン王国ですね、ミンチャー語を話すリュウネイの出身地です。」
「そうそう、そこに行った時に、更に東に別の国がないか、そういった地理を調べて欲しいんです。例えば刀という切れ味の鋭い曲刀や、硫黄を輸出している国があるかどうかです。」
「未知の取引相手を探すのですな。それは面白い。」
「ええ、そこで米や豆、種子、酒、調味料、宝飾品、衣装など、少しづつ、でもできるだけ多くの種類を入手していただきたいんです。」
「ええ、承知しました。」
「それと、一年中蒸し暑い気候の港に停泊したときに、油が採れるヤシという植物が無いか、やたらと粘り気のある樹液の出る木がないか、探して欲しいんです。」
「いろいろあるのですな。」
「全て、金に劣らない宝ですよ。」
「それは、さぞかし香ばしい物でしょうなあ」
通訳の名前、言語、国名を聞いて何となく分かっていた。
東にはアジアに相当する地域があるはず。
ここがヨーロッパであるように。南大陸にアフリカと同じ産物があったように。
そして、ここが私の夢の中なら。
「軍艦もついに建造を始めましたね。」
「ええ、これからですが、外輪船は2隻目ですからね。しかし、かなり重心を下に持ってきましたね。」
「ええ、上に大砲を設置しますからね。機関、燃料、砲弾などの重量物を可能な限り下に配置して安定性を確保したいと思いました。」
「これを南に派遣するんですよね。」
「ええ、タルタ王国の南にある港を拠点に、更に南を目指したいんです。そのためには武装高速船が必要です。向こうにどんな文明、人がいるか分かりませんので。」
「失礼ながら、ご領主様もかなりロマンチストですよね。」
「私も、見果てぬ夢というものを見てみたいと、いつも思っているんですよ。」
「そうですね。でも、夢は遠くにあるとは限りませんよ。」




