表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
181/1781

今年は静かな年末であることを願う

帝国歴247年12月



 遊園地が本日、堂々オープンする。

 宣伝はしっかり行った。広報担当が。

 きっと、ロスリーの新たな顔として、賑わってくれるだろう。


 新型軍艦も設計案が完了し、機関部の製造が始まった。

 間もなく船体の建造も始まる。

 

 食品加工工廠では、マヨネーズの生産が開始された。

 やっと原材料の品質管理が及第点に達したからだ。

 同時にタルタルソースと紅茶風味チョコ、練乳がラインナップに加わった。


 しかし、保存技術は全く未熟で、小さな瓶詰めで基本は使い切り、しかも近隣でしか販売できないものが多いのは今後の課題だ。


 金属加工工廠ではサイレンサーが完成した。スパイ映画に出てくる銃の消音器である。

 まだ使い道がないので試作のみであるが、これから拳銃の開発にも着手する。


 また、化学工廠では、紅茶を使った白髪染めを製造開始し、ラウリル硫酸ナトリウムやイソプロメチルフェノールの開発にも成功した。

 何を作るかって?歯磨き粉である。


 一応、現代水準のものを目標とし、保湿用のソルビット液、グリセリン、増粘剤のキサンタンガムは既に材料として保有しているが、何せ保存技術がアレである。

 ラミネートチューブなんてもっての外だが、古式ゆかしい金属製チューブすら難しい。


 この時代は金属全般が高級品だし、大量生産技術も無きに等しいので、大量消費材の原料としては不適だし、ロスリー金属工業の技術者をそこにつぎ込む余力は無い。

 そうなるとビンの、それも既製品となるが、それでダメなら粉末状の製品でもやむなしと考えている。

 私の祖父が使っていた喫煙者用ヤニ取り歯磨き粉はクレンザーみたいなものだったし、そもそも昔の歯磨き粉は文字通り粉だったのだ。


 ということで課題は多いが、これも完成すれば、上流階級用にかなり売れるだろう。

 これらは研究所主体で任せることにした。現在は私の補助的な活動を行っている技術開発研究所であるが、ゆくゆくは独自技術を編み出してくれるだろう。


 水産試験場でもアコヤガイの養殖が順調で、夥しい数の稚貝が育っている。来年か再来年くらいには真珠の核を移植できそうだ。

 

 使役事業も順調で、領内各地で道路が拡幅舗装され続けている。


 測量隊も、今月中には領内の周囲測量を完了する予定だ。

 完了後は製図を行い、その後、完成した鳥瞰図に入れる道路、都市、河川、山岳などの測量に移る予定。

 

 そして、人口であるが、昨年度末時点で53,017名であることが分かった。

 あれからまだ3年である。

 そりゃ街も大きくなるわな。


 ちなみに、ロスリー市が14,282名、スーディル市が15,041名であり、両都市間に位置するへワークや炭鉱の町ゴホークが急増している。

 ロスリーについては、まだ市内南側に広い都市化予定区域が広がっているので、それほど心配していないが、スーディル市は余剰の土地そのものが少ない上、都市整備もロスリーほど進んでいない所に来ての急激な過密化である。都市環境の悪化が懸念される。


 懸念といえば、あの襲撃から1年が経つ。

 最近は、まるで定時連絡のようにデ=ロペン峠を襲撃してくる賊であるが、相変わらずやる気は今一つで、双方死者が出ない程度の小競り合いを続けている。

 その他に行っていることと言えば放火くらいのもので、盗賊なのにどこから収入を得ているのだろうとさえ思う。

 なかなか尻尾を見せないが、シュバイツァーへの疑いが益々濃くなってきている。


 しかし、これほど長期戦になるとは思っていなかったし、避難している住民も、それは同じだろう。

 彼らは元の地での生活を望んでいるそうだが、事態が動かない以上、そろそろ別の案を提示する時期なのかも知れない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ