最終話 夢の先に・・・
最後のあの瞬間は、本当にこれ以上無いご褒美だった。
そして、精も根も尽き果てて眠りに就いたが、恐らくもう、目を覚ますことなんて無いのだろう。
もちろん、アーニャさんやローサを置いて先に旅立つことは申し訳ないが、しかし、やれることは全てやりきったとは思う。
深くゆっくり沈み込んでいく意識の中で、最後の思考を巡らせる。
普通ならここで、目覚ましが鳴るのだろうが、今回はきっと鳴らないのだろう。
まあ、ここで答え合わせができたところで、今の状態では最早、どうすることもできないのだから、もうあの問いを考えるのはやめよう・・・
恵利加や舞、達哉たちにお別れが言えないままになってしまうのは、本当に申し訳ないことをしたと思う。それだけは父として、家族として悔いは残る。
でも、こちらもやるべきことはやったんじゃないかとも思う。もし、いつもの朝が来たら、全力で何食わぬ顔を・・・
いや、出来そうも無いな。どうしよう・・・
結局、99年で二つの人生を送ったが、どちらも幸せな人生では無かったかと思う。
まあ、最後はきっとどちらも最愛の人を泣かせてしまったのかも知れないし、他の人からは、どちらも中途半端とお叱りを受けるかも知れないが・・・
それでも、全力で駆け抜けることはできたのではないかと思う。
そんなことをつらつら考えている間に、私の周囲は影が深みを増してくる。
そして更に、時間と方向感覚を失い、同時に全ての感覚が眠るように沈静化していく。
これが死なのか・・・
そう、死である。
レム睡眠を経て元の世界に戻るとはとても思えない。
しかし、気持ちはとても満ち足りている。
そんな面持ちになるのだと、聞いたことがある。
最早、何の悔いもなく、穏やかで・・・
本当にいい生涯だった・・・
みんなに会えて良かった・・・
みんな、これから元気でいて欲しい・・・
特に、アーニャさん、ローサ、恵利加、舞、達哉、ありがとう・・・
最終章 完




