大園遊会
次の日、屋敷のメンバーの尽力により、屋敷の前庭に盛大な会場ができた。
まだ春先なので、決して暖かくは無いが、みんな文句言わず集まってくれて、本当に有り難い。
アルベール陛下夫妻、アマーリア殿下夫妻、ボーエン公爵家一同、エルリッヒ侯爵夫妻を始め、アル君達、ゲルやギュンターのおっちゃん、ブリギッテさんやジョセフさん、サラさん、コリンナさんたち。
もう訳が分からないくらいの人が揃った。
「いやあ、こんなに働くゲルは初めて見た。」
「あっしも、お隠居様に働いているところを見つからないように、いつも努力してたんでさあ。」
「お主の頑張っておるところなど、ジョセフの店で飲んどる時以外、見たことないわ。」
「まあ、それにしても、エルフリーゼさんたちには頭が下がりますよ。」
「いえ、このくらいは当然です。」
「それに、ティエリーさんやディルクさんまで来ていただいて。」
「私たちも、あれから腕を上げましたからね。」
「それでは皆さん、絵の準備ができるまで、しばらくご歓談下さい。」
「お酒はありますが、絵を描くまで飲み過ぎないよう、お願いします。」
「ご隠居様、今日くらいはお酒を召し上がられても、よろしいのでは?」
「じゃあ、少しだけ。それにしてもパウロ、白髪増えたねえ。」
「ティアラにも良く言われます。でも、あるだけマシですよ。」
「私の方を見て言わないで下さい。」
「そういやヤンさん。いつの間に・・・」
「さあ、絵の準備ができました。皆さんエルの周りに集まって下さい。」
みんなぞろぞろ集まる。何か私の膝の上にはコレットさんとこのマリアちゃんが、アーニャさんの膝の上にはアナスタージウス様のとこのエーレンフリート君が乗っている。
後ろは陛下や殿下達、超偉い人が椅子に座り、三列目は立っている。本当に現代の記念撮影だ。
「セバスは、きっとこんな気持ちだったんだろうなあ。」
「そうですね。あの時よりたくさんの方が集まっておりますよ。」
「エル。ちょっと困ったことになってるんだが、いいか?」
「何、叔父さん。」
「どうやっても入らん。2度に分けてもらっていいか?」
「エル君、百人以上います。さすがに一枚に収めるのは無理でしょう。」
「うん。叔父さんの描ける範囲でお願い。」
「それとなあ、二日に分けていいかな?」
「うん。頑張るよ。」
結局、三日がかりだった。




