ロスリーにやっと帰る
「じゃあな、ローゼ、フュル元気でな。夏にまた会おう。」
「はい。」
「ホルスト、お前はエリーゼさんばかりにかまけてないで、少しは勉強しろよ。」
「お任せ下さい!」
こういう子は、返事だけは一流だ。
「カミル君、ホルストがサボってたら、いつでも連絡するように。」
「毎日ご報告することになりますが・・・」
「・・・・」
馬車はそのままゆっくり動き出す。
「今年もいろいろあったねえ。」
「私は教皇様にお会いできたことが一番でした。」
「あれはまさかの出来事だったね。」
「はい。とても厳格で誠実な方とお見受けいたしました。」
ローサはこういう素直な人だ。
「それと、アーニャさん、ベアと側妃の方はどうだったの?」
「あっという間に気に入られておりました。大変おっとりした方でしたね。その辺の相性や性格も、陛下は考慮して選ばれたのでしょう。」
「仲良くやれそうなら良かった。殿下も懸念したような方ではなかったしな。」
「陛下も、自分の事を差し置いて、接見禁止はやり過ぎだと思いますわ。」
「そうだね。多分、我々の知っているあれが起きたに過ぎないような気がする。」
「陛下も、他人の時は、冷静に見られることが、良く分かりました。」
「後は、レイ君が男爵になったし、ローラント君も結婚が決まった。」
「タビタ夫人が喜んでいたのが、とても印象的でした。」
「そうだねえ。レイ君はいい男だけど、奥さんは苦労人だからねえ。」
「大奥様50周年記念式典の開催も決まりました。」
「途中まで、大誕生会に留まっていたんだけどねえ。」
「アナスタージウス様が入って来てから、話がさらに大きくなってしまいましたね。」
「あれは、あんまりですわ・・・」
「まあ、私公認のアーニャさんファンクラブ会員1号だから。」
「来年の帝都が楽しみですね。」
ローサはこういう素直な人だ。
「まあ、それにしても、フランは久しぶりのロスリーになるね。」
「はい、本人も役目を果たせて安堵しておりましたね。」
「ああ、殿下を諭しているところはアーニャさんに見せてやりたかったよ。」
「残念ですね。でも、あの子も成長しているのだと分かって、安心しました。」
「今年も、いい帝都滞在でした。」
ローサがそういうなら、間違いない。




