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リンツ伝  作者: レベル低下中
第七章 晩年編
1745/1781

ロスリーにやっと帰る

「じゃあな、ローゼ、フュル元気でな。夏にまた会おう。」

「はい。」

「ホルスト、お前はエリーゼさんばかりにかまけてないで、少しは勉強しろよ。」

「お任せ下さい!」

 こういう子は、返事だけは一流だ。


「カミル君、ホルストがサボってたら、いつでも連絡するように。」

「毎日ご報告することになりますが・・・」

「・・・・」

 馬車はそのままゆっくり動き出す。


「今年もいろいろあったねえ。」

「私は教皇様にお会いできたことが一番でした。」

「あれはまさかの出来事だったね。」

「はい。とても厳格で誠実な方とお見受けいたしました。」

 ローサはこういう素直な人だ。


「それと、アーニャさん、ベアと側妃の方はどうだったの?」

「あっという間に気に入られておりました。大変おっとりした方でしたね。その辺の相性や性格も、陛下は考慮して選ばれたのでしょう。」

「仲良くやれそうなら良かった。殿下も懸念したような方ではなかったしな。」

「陛下も、自分の事を差し置いて、接見禁止はやり過ぎだと思いますわ。」

「そうだね。多分、我々の知っているあれが起きたに過ぎないような気がする。」

「陛下も、他人の時は、冷静に見られることが、良く分かりました。」


「後は、レイ君が男爵になったし、ローラント君も結婚が決まった。」

「タビタ夫人が喜んでいたのが、とても印象的でした。」

「そうだねえ。レイ君はいい男だけど、奥さんは苦労人だからねえ。」


「大奥様50周年記念式典の開催も決まりました。」

「途中まで、大誕生会に留まっていたんだけどねえ。」

「アナスタージウス様が入って来てから、話がさらに大きくなってしまいましたね。」

「あれは、あんまりですわ・・・」

「まあ、私公認のアーニャさんファンクラブ会員1号だから。」

「来年の帝都が楽しみですね。」

 ローサはこういう素直な人だ。


「まあ、それにしても、フランは久しぶりのロスリーになるね。」

「はい、本人も役目を果たせて安堵しておりましたね。」

「ああ、殿下を諭しているところはアーニャさんに見せてやりたかったよ。」

「残念ですね。でも、あの子も成長しているのだと分かって、安心しました。」

「今年も、いい帝都滞在でした。」

 ローサがそういうなら、間違いない。


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