領地の発展は続く
帝国歴247年10月
商店街のリニューアル工事が進展している。
三組目として7軒の店と裏手の住居が対象である。
そして、全体を考えると今回でやっと進捗50%となる。
また、上水道については、ロスリー市で3ルート、スーディル市で2ルートの敷設工事が開始された。
目玉は人口が急増中のロスリー南側とスーディル港に続く配管である。
下水についても、ロスリーで2ルートが工事を始めた。
これらの動きは各地にも広がっており、サッツやゴホークも中心街路については、上水管敷設を終え、取水口との接続を控えている。
測量も、領地の周囲については、80%以上の進捗である。
後の20%も大変ではあるが、これで領地の概要がやっと明らかになる。
築堤については、ニルヴェ川のロスリー以南~河口の測量が完了し、これから設計に入る。
ここからは堤防の骨材として瓦礫を活用しづらい距離になるので、完成までに多くの時間を要することであろう。
工廠については、化学工廠の追加工事を決定した。現在の敷地を拡張し、第一工廠で化学薬品、第二工廠で日用品、第三工廠で医薬・化粧品という分担とした。
これで、あの低い丘を工場が、ぐるりと取り囲むような配置になる。
そして、製紙工廠についても一部改装し、印刷事業を行うことを決定した。
本来、印刷工廠は市内中心部に建設する予定であるが、現在、商店街の人たちの仮住居が建っていて、建設の目処は立っていない。
このため、活版印刷や、その印刷工を育成するため、一時的に製紙工廠内で活動を行うものである。
土木商会は現在、ニルヴェ川堤防工事のうち、ハーゲン川合流地点付近で最後の仕上げを行っている。
堤防自体の排水設備や上部の道路舗装化などである。
でき次第、今度はロスリー~スーディル間の舗装工事に投入する。
また、気になる盗賊の襲撃であるが、またデ=ロペン峠の関所が襲撃された模様。
しかし、相手も敵わないことは承知のようで、小規模な様子見、といった感じだったそうである。
ただし、周辺で怪しい人物の目撃は相次いでおり、油断はできない。
そして、放火についても散発的に発生している。
さすがに自警消防団の巡回頻度の高いスーディル市内では起きていないが、郊外や山一つ越えたマーブルクでも発生している。
最後に、医学の研究であるが、当初の想定どおり、各種の菌の発見やこれを同定する研究者の練度は高まってきている。
同時に血清やワクチンに対する概念理解も研究者の間で進んで来ており、予防・治療薬開発に向けた準備は着々と進んでいる。




