ベアトリクスと再会する
さて、フローレンスの口座開設を終えた後、登城する。
「アーニャ、エルハバード、さあこちらへ。」
「お祖父様、お祖母様、お久しぶりです。ようこそ帝城へ。」
「おおっ!こりゃ立派な挨拶だねえ。偉いぞ!」
「ありがとうございます。お褒めいただき、嬉しゅうございます。」
「さすがはアーニャの孫です。しかも、事前教育が行き届いていたお陰で、期待していた以上に順調です。これなら十分に間に合います。」
「それはよかったですわ。それでお母様、肝心の殿下とは、どのような・・・」
「姉上、それが・・・」
「ええ、ベアトリクスが貴族学校を卒業するまで接見禁止としました。」
「それは、何かあったのでしょうか。」
「最初にベアが登城したときに、ベルトホルトに会わせたのですが、一目見ただけで見苦しいほど興奮してしまい、罰として5年間の接見禁止としたのです。」
「いくら姉上やメリッサに似ているからといって、あの振る舞いは皇族に相応しくない。改めないなら廃嫡だと脅しておる。」
ここにも脅している人がいた!
「まあ、ベアの身が安全なら、こちらから言うことはございませんわ。それで、アウレリアの方は元気でやっているでしょうか。」
「ええ、元気よ。アウレリア、これへ。」
「はい、陛下。」
アウレリアがエリーゼさんに伴われてやってくる。
「お祖父様、大奥様、ご無沙汰しております。」
「うん、とても元気そうで良かったよ。」
「はい。エリーゼ様を始めとして、皆さん、とても良くしてくれます。」
「エリーゼさん、とてもお世話になっているね。ありがとう。」
「いいえ、彼女には、私が叶えることができなかった夢を受け継いでもらいます。私としては、陛下への最後の御奉公と思っております。」
「ホルストとのことは報告しなくていいの?」
「あ、あの、それは・・・ホルスト様から聞いていただければ・・・」
「上手くいっているようで何よりです。」
「そうですね。ベアもアウレリアもエリーゼさんも、大変よろしいですね。」
「まあ、問題は皇太子だけだ。姉上、本当に面目ない。」
「陛下、嫌われるよりよっぽどマシです。それに、ベアが殿下のことを気に入るかが、今の一番の課題なのではないでしょうか。」
「そうねえ。でも、この子は聡明だから、やはり問題は皇太子なのよ。」
やっぱり、お祖母様は孫に厳しい・・・




