メリッサとベアトリクス
今日は親子でお買い物。帝都では入手困難な物だって、ここでは比較的容易に手に入る。
いや、店主の押し売り攻撃に耐えられるなら、だが・・・
「おおっ!メリッサちゃん、いいとこ来たねえ。果物買ってかない?」
「まあ、もう夏の果物が出てるのね。じゃあじゃあ、こっからここまで全部!」
「へいっ!毎度ありっ。さすがは全部買いのメリッサちゃん。豪快さは健在だねえ。」
「メリッサちゃん!店番頼んでいいかい?」
「は~い!客寄せ名人メリッサちゃん参上!」
「アンタッ!ダメよ。タダ売りのメリッサちゃん、忘れたの?」
「おばちゃん、それ昔の話よ。もう数字の計算くらいできるんだから。」
「じゃ、じゃあ、お願いしようかしら・・・」
「ジャーン!美人親子コンビ、メリッサ&ベアトリクスよ。コンビ誕生を記念して、こっからここまでの品、ぜ~んぶタダ!タダよ!さあ、いらっしゃい!」
「おおっ!さすがはメリッサちゃん。商売上手!」
「うわぁ、ウチの店、もう終わりだぁ~」
「あ~楽しかった。やっぱり、お仕事すると気持ちいいね。」
「はい、お母様。何か、少し悲しいお顔の方もおられましたが。」
「気にしない気にしない。みんな、明日になればケロッとしてるんだから。」
「でも、皆さん活気があって、とても良い雰囲気ですね。」
「そうよ。この街の人たちは、お祖父様が一生懸命お仕事をして、綺麗な町を作って、そこで楽しく暮らしてるのよ。ベアはここよりもっと大きな帝都を、同じように綺麗で元気にするために偉くなるのよ。」
「はい。」
「本当は、お母様も寂しいの。ベアのこと大好きだから。でも、ベアは私と違ってお利口さんだから、偉くなるチャンスがあるの。だから、絶対に負けちゃダメよ。」
「はい。お母様。大好きです。」
「うん。ベアはとってもいい子ね。アウレリアちゃんがいろいろ助けてくれるから、何かあったら一緒に頑張るんだよ。それでも辛い事があったら、お父様とお母様に知らせるのよ。絶対に、何があっても助けに行くからね。」
「はい、お母様。ありがとうございます。」
「じゃあはい、これ。」
「まあ、これは綺麗なイヤリングですね。とてもお高いものではないのですか?」
「うん?それは分かんない。さっき宝石屋さんでもらった物だから。お揃いだよ。」
「お母様、それはきっと、後で執事様がお支払いするのだと思います。」
「あら、宝石屋さん、意外にケチんぼさんなのね。」
商店街の天敵、昔からいたんだ・・・




