ドレスも必要
ベアトリクスが領民学校を卒業した。
本来なら高級学校に入学といきたいところであるが、彼女は帝都にて皇妃教育に入る。
その前にドレスを作っておかないといけない。
「まあ!ベアちゃん。ちょっと見ないうちにまた一段と綺麗になったわね~」
「これにはブリギッテと同意見です。さすがはメリッサ閣下の娘さんです。」
「ということで、何着か作って欲しいんだよ。」
「もっちろんよ~。リンツ家のドレスは全てアタシにお・ま・か・せ・よ!」
「相変わらず元気ですねえ・・・」
「もちろんデス。いい仕事ニハ気力ト体力ガ必要デスから。」
「でも最近は歳のせいか、目が霞んじゃって~、でも、みんなの分は別よ。全力で最高のものを用意するわ。」
「是非、ベアのウェディングドレスもお願いしたい。可能であれば、3人の合作で。」
「まあ、コンスとエマなんかと合作なんて嫌だけど。エルちゃんの頼みなら、仕方無いわね~」
「全くです。しかし、未来の皇后陛下の晴れの衣装となれば、やらざるを得ません。」
「でも、まダ、5年は先デスよね。」
「だから、それまでは現役でお願いします。」
「ええ、いいわ。エール・アンジュより先に店を畳むなんて嫌よ。」
「えっ?お弟子さんに後を継がせないんですか?」
「閣下、弟子が引き継ぐのは良いのです。ただ、弟子はまた違う感性を持っていますので、店の名前は変えていただくのです。」
「ゴ領主様のおっしャっテイた。ブラんド戦略といウもノデス。」
「そうなんですね。確かに、お三方は既にこの世界の生ける伝説みたいなものですもんね。でも、それはまだまだ先ってことで、お願いしますよ。」
「ええ、リンツ家の注文だけは、死ぬまで請け負うわ~」
「閣下、他のどこの馬の骨か分からない者に譲りはしません。百歩譲ってアフォスフルークです。」
百歩も譲るのね・・・
「皆さん、本当にこの街に来て下さってありがとうございます。今やこの町は、ラーヘル陛下公認のファッションの都と言われるようになりました。」
「コチラこソ、行キ場の無イ私タチを拾っていただき、ありがとうございました。」
「エルちゃん、初めて会った時に、未開の辺境と揶揄される状況を打破したいって言ってたわねえ~。アタシたち、役に立ったかしら~」
「ええ、もちろんです。そしてこれからも、よろしくお願いします。」
「じゃあ~、取りあえず、各自10着づつね~」
「了解!」
そりゃ多過ぎだよ・・・




