歳を取ると
今日は4月11日、マリアさんが亡くなって5年経つ。
この後、セバスとオルガさんの墓参も行う。
みんなロスリーの墓地なので近いのである。
「もうザゴル帝国と戦って5年ってことなんだ。早いねえ・・・」
「あれからでも随分世の中が変わってしまいましたからね。」
「そう、そしてどんどん墓参する場所が増えて行く。仕方の無いことだけど、寂しさばかり募っていく。」
「でもそれは、生きている者の大切なお役目です。」
「全くその通りだ。」
「それに、亡くなった方より遙かに多い方に出会いました。出席した葬儀の数より遙かに多い挙式と出産に立会いました。」
「全くその通りだ。結論、私は二人に敵わない。」
「いいえ、ご主人様のお陰ですよ。私がこのようなことを言えるようになったのは。」
「この後、オルガさんの墓前に報告できるかい?」
「はい。オルガさんもきっと喜んでくれると思います。」
「そうだね。マリアさんもセバスもみんな笑ってるよ。」
「お母様、コレットに二人目が出来るんですよ。女の子だったらマリアって名付けます。お母様は苦笑いされると思いますが、私はもう決めました。」
「男の子だったら、ゲルハルトと付けさせます。これはお隠居様権限です。」
「まあ、きっと苦笑いでは済みませんわ。」
「大奥様、そりゃあひでえや・・・」
春の空に笑い声が響く。
「メイド長、不肖ウルが後を引き継がせていただくことになりました。未熟者ではありますが、メイド長の名を汚すことのないよう務めます。見ていて下さい。」
「マリア様、私がいるので絶対大丈夫です。」
「マリアさん、何はともあれ、みんな元気です。ご安心下さい。」
「さすがご隠居様。最後はきちっと締めましたなあ。」
「全く、ゲルとギュンター殿はあれだけ飲んだくれているのに、ホント元気だもんなあ。」
「それがしが76、コヤツが75。まだまだいけますワイ。ガッハッハ!」
「マリアさんとオルガさんが絶対こっちに来るなって頑張ってるんだろうな。」
「毎晩、あっちに行けそうなくらい、飲んではおるのですがなあ。」
「こんな五月蠅いの、お迎えも乗せたくないだろう。」
「違えねえ。」
「それはお主だけじゃ。」
「まあ、あっしはローサちゃんとレミリアちゃんの幸せを見届けないとダメなんでさあ。」
「そうだね。これからもよろしく頼んだよ。二人とも。」
4月の空は、優しく青い・・・




