さすがフランの子・・・
今日はラーヘル陛下のお茶会に招かれる。
いや、今日だけでは無いが・・・
「今日もベルトホルト殿下はおられないのですね。」
「そんなに会いたい?あの子は今、実務に専念させて甘ったれた性根を叩き直してるわ。覚えるべき事は多いから、遊ぶ暇なんて無いわね。」
「フランカイザー陛下も、同じ考えですか。」
「余も結構厳しくされたぞ。いきなり総大将として戦場に叩き込まれる程度には。」
「ああ、サントスに行きましたね。」
「まあ、あの子のことなんて、どうでもいいわ。今日はみんなで来てくれて嬉しいわ。」
「ラーヘル陛下、エリーゼお姉様がおりませんが。」
「ああ、ごめんなさい。すぐ呼ぶわね。」
「本当にお前は、あの女官殿のことがお気に入りだな。」
「陛下、遅くなり申し訳ございません。ただ今参りました。」
「いいのよ。ホルスト君がどうしても会いたいというから呼んだだけよ。」
「まあ、ホルスト様が。勿体ないことでございます。」
ホルストは席を立ち、エリーゼと並ぶ。
「父上、母上、お祖父様、お祖母様。私、ホルストはエリーゼお姉様と結婚したいと考えております。このホルスト一世一代、唯一のお願いでございます。どうかお許しを。」
「・・・うん?今、結婚と言ったのか?」
「・・・」
全員ポカーン・・・
そりゃ、こうなる・・・
「えーっ!」
「お前本気か?いきなりだなあ。」
「あ、あの、ホルスト様?私、ホルスト様の倍の年齢です。おばさんでございます。」
「お姉ちゃんです。そこは間違ってはなりませんよ。エリーゼ様。」
「おほほほ、いいわねえ。ホルスト君が本気だと言うなら、エリーゼをあげますよ。」
「ラーヘル陛下、フランカイザー陛下、私は本気です。」
「まさかなあ。しかし、その意気、我が息子にこそ欲しかったぞ。よろしい。余が認める。フランシス、エルハバード、良いな。」
「何かホルスト。色々凄いなあ・・・」
「そちの孫だからな。やはり規格外だ。ワッハッハ!」
「そうですわね。こんな愉快なこと久しぶりです。エリーゼ、これからは女官長ではなく、辺境伯夫人を目指しなさい。」
「あ、あの・・・はい・・・」
「フランシス、今日そのままエリーゼを持って帰ってもいいわよ。ただし、式は帝都で挙げなさいね。」
「あ、あの、今日はまだ無理です。ホルストも貴族学校に入学したばかりですし。」
「あら、そうだったわね。でも、楽しみが出来て良かったじゃ無い。オホホホッ!」
正直、何が起きたのか分からないうちに、嫡孫の婚約が決まった。




