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リンツ伝  作者: レベル低下中
第七章 晩年編
1702/1781

家族欲張りセット

 今日はローサの誕生日。昨日から今朝にかけて仕込みで忙しかったが、一家総出で今日に備えた。

 オルガさんが亡くなってから元気が無いローサを励ますため、みんなで役割を決めて協力したのだ。


「さて、ヴィレ、フローレンス。お母様とお出掛けだ。カタリーナさん、アデ-レさん、後はよろしく。」

「はい、バッチリお任せください。」



「それにしても、昨日は公爵邸で何をされていたのです?」

「いやあ、帝都邸で何かをするとローサにバレちゃうじゃない。」

「それはそうですけど、マンフレートやイングリットにできることって?」

「そりゃあ、みんないないといけないこともある。さて、そろそろ着くね。」

「ここは・・・」

 かつて一度だけ来た事がある、テーレ川の畔だ。


「アーニャさんと来たでしょ。」

「はい。新年にお食事に出た帰りです。ご主人様は今と変わらず、仲睦まじく歩いておられましたね。」

「ローサとアルマさんは、後ろで何やらヒソヒソ話しながら付いてきてた。」

「はい。とても初々しくて、こちらまで顔が熱くなっておりました。」

「ゴメンね。ローサと来るのに30年以上かかってしまった。」

「いいえ、それだけ長い時間、大切にされる妻は稀です。」


「見てよ、ヴィレとフローレンス。あの時の誰かさんみたいだよ。」

「ウフフッ、誰のことでしょう・・・」

 そして、いつもの店で、いつものお茶を楽しむ。


「ここは、ご主人様と二人でお茶を飲むのも良し、こうして家族で楽しむのも良しですね。」

「そう、いろんな思い出がこの席には詰まっている。」

「ここのお茶の味は、あの時と変わりません。」

「そうだね。ローサはコーヒーを飲まないからね。それに、あのプラタナスの木も変わらない。」

「ええ、今日はとても明るく見えますね。」

「元気出たかい?」

「はい。ヴィレやフローレンスたちまで、こんなに頑張ってくれているのです。私も頑張らないといけませんね。」


「その意気だよ。じゃあ、私から私を含む4人へのプレゼントだ。」

「ええ?僕たちもですか?」

「みんながお揃いなことに意義がある。」

「家族みんなとお揃いなんて、初めてです。さすがはお父様。」

「さあ、開けてみて。」

「新しい手袋ですね。嬉しいです・・・」


 うん、思い出の味も楽しめたし、掴みはOKだな。


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