借金返済の秋
秋といえば何でも通る訳では無い。
それは分かっているが、当家にとって秋は借金返済の季節なのである。
「借金返済の予算は2000万ディリだよね。」
「いいえ、軍艦建造費をお聞きましたので、1100万ディリです。」
何かごめん・・・
「それで、幸福銀行の400万ディリは返せるんだよね。」
「あれから財務責任者が粘り強く交渉した結果、返済できる運びとなっております。」
「これで一安心。あとは2伯爵家と1子爵家で貴族からの借金は終わりっと。」
「まあ、グミュール伯爵家分は軍艦が、」
「うんうん分かったよ。ほら、初めてだったし、ね。」
「まあ、返済自体はまるで夢のような早さで進んでおりますからなあ。」
「そうだよ、船は資産だし。」
「まあ、そうですな。これで債務残高4160万ディリ、利子返済が年間で約320万ディリになります。」
「もう、他家と比較しても健全じゃないかなあ。」
「ええ、3年前が信じられません。予算が6600万ディリありますから、財務指標としても問題ないと判断される水準です。」
「だからこそ、父の欲の皮が突っ張る。」
「まあ、あれは公爵家との関係を優先した結果かと。」
「でも、そのメリットは父の出世とかでしょ?稼いでいるのはこちらなのに。」
「間接的には、当家の信用度とか、政治的後ろ盾とかあるでしょうが。」
「でも、何か納得できない。それと、帝国銀行の支店の話は、立ち消えたのかなあ。」
「それも確認した方が良いですな。しかし、今回はあそこの元本は返済しておりませんので、来年の返済時に、改めて確認するのが担当者も話しやすいかと存じます。」
「そうだね。お土産がないと交渉役も辛いよね。」
「ええ、それにロスリーに支店を開設しても周辺の利用者がスーディルしかありませんからな。」
「シュバイツァーの領都なら、まだメリットがあったと。」
「はい。あそこは現在のティグレ支店から1日程度と近いのですが、さらに東に当家の領地があれば、支店開設の判断を付けやすいと思います。」
「なるほど。もう少しここの貨幣流通量と口座数を増やしてアピールする必要があるね。」
「それがよろしいかと。」
「名代様、ヴェーベルン公爵家より、お客様がまいっております。」
思ってたより早く来たな・・・




