ローザリンデ、帝都に行く
ローゼも貴族学校入学となる。
サラさんとこのアルバン君と同級生だ。
2つ上にはルカス、ファビアンの従兄弟たち、一つ上にはリーン様のとこのフェリクス君がいる。
「まあ、知り合いもいるし、帝都邸に住む訳だし、何と言っても11月にはみんなと会えるんだから、取りあえず頑張れ。」
「はい。少し不安はありますが、頑張ります。」
「ホルストとアウレリアとフュルは来年だな。」
「スーディルのユリアーナちゃんもだよ。」
「まあ、そんな訳で知り合いだらけになる。寂しいのは一時のことだからな。」
「はい。では、頑張ってきます。」
帰省していたルカスたちとともに、4人を乗せた馬車は帝都に出発する。
「父上も、私たちの時はこういう気持ちだったんですね。」
「うん?ああ、屋敷が静かになる、この何とも言えない感じな。」
「ええ、馬車に乗る方も、楽しさと寂しさが入り交じったような気持ちでした。」
「そうか。私はいつもふてくされてたからなあ。お前たちとは少し違う。」
「ご主人様はいつも駄々こねておいででした。特に一番最初は、セバス様がとても苦労されておりました。」
「そりゃあそうだよ。せっかく料理が美味しくなって、お金の心配も減って、風呂トイレ付きの生活をやっとのことで実現させたのに、すぐ帝都行きだったんだから。」
「ご隠居様が最初、あれだけ覇気が無かった原因ですね。」
「ただただ行きたくなかった。そして、目を瞑って開いたらあら不思議、3年後にって、いつも考えてたよ。」
「また、不可思議なことを考えていたのですね。」
うん、実体験があるから。
「1年の終わりも駄々捏ねてましたね。」
「まあ!その時はもう、私と知り合っておりましたのに・・・」
「婚約前だよ。まだああなるなんて想像もしてなかった頃だよ。だからノーカン。」
「いつ、その気になられたのです?」
うん、ちょっといじけてるとこ、可愛い。
「初めて聞いたのは、帝都の学生寮に戻った日の夜、ローサからね。」
「魚が飛ぶとか何とかおっしゃっていましたよね。」
「魚が飛ぶ?」
「いや、例えだよ。アーニャさんと婚約は、そのくらい難しいってこと。」
「何か、父上も結構楽しい学生生活を送っていたのですね。」
「まあな。アル君やノルト君達をみれば分かるだろう。」
楽しかった。今にして思えば・・・




