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リンツ伝  作者: レベル低下中
第七章 晩年編
1663/1781

再び、東へ

帝国歴283年1月18日



 さて、長年の約束だったセペヘの旅行に発つ日がやって来た。


 今回は結構大変な道のりなので、私、アーニャさん、ローサ、ベルトラン、ブルーメリの5人だけだ。 

 ベルの子供はメリッサやコレットさんたちにお願いした。


「では父上、どうかお気を付けて。」

「ありがとう。みんな、土産を期待しておいてくれ。」

「はい!」

 この日、スーディルを出港し、25日にサントスに入港。

 観光を楽しんだ後に2月9日にケンポール入港。

 そして15日にカスターシティに入る。


「やはり、各国行脚はご隠居様の醍醐味だなあ。」

「エル君、おっしゃっている言葉が難し過ぎます。また、東の逸話ですか?」

「俺も東大陸には多少詳しい自負があるけど、さっぱりだなあ。」

「まあ、気にするな。それより総督閣下直々にお出迎えだ。」


「これはエルハバード卿、姉上、それに聖女様まで、ようこそウェルネスへ。」

「お邪魔いたします。」

「歓迎するよ。帝国からは監察だのロクな用件で人が来ないからな。」


「バーナード卿も、わざわざ出迎えて頂き、ありがとうございました。」

「いえ、私も卿が今でもこの地を忘れず訪れてくれることを嬉しく思っていますよ。」

「では皆さん、中へ。帝国には敵いませんが、夕食をご用意しております。」

「ありがとうございます。是非、いただきたいと思います。」



「ウェルネスは落ち着きましたか。」

「ええ、お陰様で。先の戦争では、直接の戦闘に巻き込まれませんでしたから。国内は相変わらず発展を続けております。」

「ウェルネスの亡命政府は解散したと聞きました。」

「そうですね。あの時点でザゴルを抜け出したということは、もう彼の国には戻らない、あるいは戻れないということでしょう。今、何処におられるかは、杳として知れません。」


「彼らも簡単に諦めるとは思えないのですが。」

「しかし、現実的には困難です。可能性があるとすれば、私の住む自治区ですが、今の生活が脅かされる恐れがあるのに、旧王家を支持するのか、と聞かれて応じる民はいないでしょう。自治区を治める諸侯も権益が減りますし、十数年の空白で、より忘れられつつありますからね。」

「そうですか。」

「自治区は自由です。帝国式の統治方法は非常に先進的で寛容です。これを知ってしまうと、昔には戻れません。これを知ってやったのなら、なおのこと、帝国には敵いません。」


「まあ、近隣との衝突の畏れも無くなったですからね。」

「はい。軍の配置も効率化が図れました。少ない費用で同等以上の国防が可能になり、それがまた、経済によい意味で跳ね返っています。」

「そうですね。今しばらくは経済も拡大傾向を続けそうですね。」

「ええ、本当に喜ばしいことです。本当にありがとうございました。」


 確かに、ここも豊かになったよねえ・・・


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