さて、ロスリーに帰ったら・・・
さて、今日はロスリーに帰る日だ。
「ルカス、ファビアン、勉強はしっかり。それと来月の本戦、怪我の無いようにな。」
「はい父上。お任せ下さい。」
「フローレンス、身体には十分気をつけてね。」
「はい。お母様もお元気で。」
「ベル、年明けにはロスリーに来るように。遅れたら置いていくぞ。」
「分かってるよ。何が何でも行くよ。」
こうして帝都を発ち、ロスリーに向かう。
「さてさて、今年も目まぐるしかったよねえ。」
「はい。収穫祭に始まり、地球を認めてもらい、旅行の計画が決まり、絵の完成を祝い、また絵の題材になり、カミーユ殿下と面会させ、アルミン君とアメリアさんの挙式に出て。」
「ローサの誕生日を祝い、先祖祭に出席して、アーニャさんの誕生日を祝い、ローゼがデビューした。本当に盛りだくさんだったよ。」
「どれか一つだけでも、大事ですのにね。」
「来年は公爵家がベビーラッシュだ。」
「ええ、スタージ君もヘレナさんもです。ついでにリーンの所もですよ。」
「エミーリエさんに子供さんが出来るし、リーヌス様が結婚か。もう訳分かんない。」
「お目出たいことは良いことです。ところで、昨日、陛下に呼ばれておりましたけど。」
「ああ、ザゴル帝国に動きがあったんだよ。いつぞやの皇太子が英雄王を斃したらしい。」
「まあ、それでは混乱が収束するということですか?」
「いや、陛下の分析は全く逆だった。今まで皇帝は、皇太子と結ぶことで体制の安定を図ろうとしていたんだけど、どうやら皇太子にとって父親は足枷でしか無かったみたいだね。しかし、軍は割れてて、弱き王を倒した皇太子を評価する者と、父殺しに反発する者がでたようだ。そして、第二、第三皇子の勢力も健在だ。」
「強き者が全体を統率する部族社会の弱味が出ましたね。」
「ああ、もちろんどの国にもそのような側面はあるが、極端な形で出てしまったと言える。それに乗じて、占領地でザゴルの影響は日を追って衰えてる。」
「それなら当分、戦はありませんね。旅の安全も。」
「そうだね。私たちにとってはメリットだ。」
「ご主人様、あの、これを。」
「手紙かい?誰からだろう、楽しみ・・・」
「これは、大奥様宛です。」
「これって・・・陛下からの・・・」
「はい、ご主人様を驚かせようと、絵を描く時にお願いしておいたのです。結婚30年でサプライズされましたので、お返しです。大奥様は自主的に書いて下さいました。」
「しかし・・・エラい所にお願いしたねえ・・・過去最大のサプライズだよ・・・」
あの人にお願いなんて、凄すぎる・・・




