みんなで絵を鑑賞する
さて、サントスからアマーリア殿下夫妻と、レアンドロ殿下夫妻が公爵家に到着した。
エルヴィーラ殿下にとっては、久しぶりの里帰りとなる。
そして、今年は大きな楽しみがある。
叔父さんに頼んでいた絵である。
一年で完成するとは思わなかったが、頑張って何とか仕上げてくれたらしい。
個人的には、私の家族が漏れなく全員入っていることが嬉しい。
「いやあ、こうしてみると大きいねえ。さすが筆が速いと評判の叔父さんだ。」
「全く無茶だよな。普通ならできないよ。次は3年必要だからな。」
「しかしみんなしっかり描かれていますね。」
「マルコ、実際より格好良く描かれてるんじゃない?」
「ジョルジュ様、ありがとうございます。私にそっくりでございます。」
「おお、エルヴィーラも入っているんだな。」
「はい。お義父様にお願いして、入れて頂きました。」
「私もついでに妻の横に入れたんだよ。」
それができるなら、もしかして本当に全員集合絵画ができちゃうんじゃない?
「エル君、アーニャとかフローレンスちゃんに囲まれて、ニヤけてるじゃない。」
「笑顔と言って欲しいね。」
「本当に皆さんおりますね。オルガさんも、アイリーンさんも。」
「アルベール陛下から屋敷の家人まで一緒に描かれた絵画なんて、世界でこれだけな気がする。」
「一つじゃ無いぞ。同じ物を三枚描いて、一枚はサントス城に飾ってある。一枚はアルベール陛下に進呈するために持ってきてるぞ。」
「おお、ジョルジュ殿下、それはありがたい。やはり、うちもこういう絵が必要だな。」
「そうですね。王宮でも宮廷画家使って描かせちゃいましょう。」
「ジュルジュ殿下、これを公爵家にも一枚描いてもらえることはできないだろうか。」
「兄上、これ以上ご迷惑をお掛けするのは・・・」
「構いませんよ。公爵家とアルフレート様にも一枚進呈いたしますよ。」
「ありがとうございます。うちもお城に飾りたいですね。」
「ああ、今の絵は外してしまおう。バーゲン侯爵時代からのものらしいし。」
「アルフレート様、それってすっごく値打ちものなんじゃないんですか?」
「でも師匠?絵って思い入れが大切ではありませんか?」
「そう言われると、何とも言えないが・・・」
「いやあ婿殿、本当にありがとう。私もアンゼルマやエミーリアとの肖像を描いてもらったことが無かったんだ。」
「そう言えば、お祖父様の肖像はありますのに、お父様のはございませんね。」
「そういうのはみんな、無頓着だったからなあ。思いつかなかった。」
「お父様、こういうのは家の歴史でもありますから、今度、ちゃんと描いてもらってくださいね。」
「ああ、そうするよ。」
孫達もキャッキャしている。
彼らも肖像を制作したことはあるが、やはりみんな一緒が嬉しいのだろう。
こういうのも、みんなの良い思い出になっていくんだろう。




