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リンツ伝  作者: レベル低下中
第七章 晩年編
1654/1781

みんなで絵を鑑賞する

 さて、サントスからアマーリア殿下夫妻と、レアンドロ殿下夫妻が公爵家に到着した。

 エルヴィーラ殿下にとっては、久しぶりの里帰りとなる。


 そして、今年は大きな楽しみがある。

 叔父さんに頼んでいた絵である。

 一年で完成するとは思わなかったが、頑張って何とか仕上げてくれたらしい。

 個人的には、私の家族が漏れなく全員入っていることが嬉しい。


「いやあ、こうしてみると大きいねえ。さすが筆が速いと評判の叔父さんだ。」

「全く無茶だよな。普通ならできないよ。次は3年必要だからな。」

「しかしみんなしっかり描かれていますね。」


「マルコ、実際より格好良く描かれてるんじゃない?」

「ジョルジュ様、ありがとうございます。私にそっくりでございます。」

「おお、エルヴィーラも入っているんだな。」

「はい。お義父様にお願いして、入れて頂きました。」 

「私もついでに妻の横に入れたんだよ。」

 それができるなら、もしかして本当に全員集合絵画ができちゃうんじゃない?


「エル君、アーニャとかフローレンスちゃんに囲まれて、ニヤけてるじゃない。」

「笑顔と言って欲しいね。」

「本当に皆さんおりますね。オルガさんも、アイリーンさんも。」


「アルベール陛下から屋敷の家人まで一緒に描かれた絵画なんて、世界でこれだけな気がする。」

「一つじゃ無いぞ。同じ物を三枚描いて、一枚はサントス城に飾ってある。一枚はアルベール陛下に進呈するために持ってきてるぞ。」

「おお、ジョルジュ殿下、それはありがたい。やはり、うちもこういう絵が必要だな。」

「そうですね。王宮でも宮廷画家使って描かせちゃいましょう。」


「ジュルジュ殿下、これを公爵家にも一枚描いてもらえることはできないだろうか。」

「兄上、これ以上ご迷惑をお掛けするのは・・・」

「構いませんよ。公爵家とアルフレート様にも一枚進呈いたしますよ。」

「ありがとうございます。うちもお城に飾りたいですね。」

「ああ、今の絵は外してしまおう。バーゲン侯爵時代からのものらしいし。」

「アルフレート様、それってすっごく値打ちものなんじゃないんですか?」

「でも師匠?絵って思い入れが大切ではありませんか?」

「そう言われると、何とも言えないが・・・」


「いやあ婿殿、本当にありがとう。私もアンゼルマやエミーリアとの肖像を描いてもらったことが無かったんだ。」

「そう言えば、お祖父様の肖像はありますのに、お父様のはございませんね。」

「そういうのはみんな、無頓着だったからなあ。思いつかなかった。」

「お父様、こういうのは家の歴史でもありますから、今度、ちゃんと描いてもらってくださいね。」

「ああ、そうするよ。」


 孫達もキャッキャしている。

 彼らも肖像を制作したことはあるが、やはりみんな一緒が嬉しいのだろう。

 こういうのも、みんなの良い思い出になっていくんだろう。


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