新辺境伯就任パーティー
ロスリーに帰って来て、早速フランシスの就任パーティーを行う。
屋敷の者はもちろん、寄子、政庁、市役所、騎士団、企業団、教会や病院、学校、協賛企業関係者や町の有力者など180名を超える人たちが集まり、結果、3回に分けて行うことになった。
屋敷にそんな広い部屋はさすがに無いのである。
「それでは、本日は私たちのために集まってくれてありがとう。今日は3度目の披露宴となるが、本日は屋敷と近しい身内が中心だ。心を置かず、気楽に歓談できればと思っている。では、最初に、父上から退任にあたっての挨拶を頂く。」
「では、先ほど紹介をいただいたとおり、陛下の承認を得て、過日、フランシスに家督を譲った。私も父から家督を受けて17年。それ以前の20年も合わせて37年の間、この領地の舵取りを任されてきた。この間、すでに物故された方も含め、ここにおられる方々の多大な尽力により、今のリンツ家が興隆を迎えていることは誠に喜ばしいことと思っている。皆に感謝の礼を述べ、挨拶としたい。本当にありがとう。」
「では、旦那様、よろしくお願いします。」
「先ほど父から紹介のあったとおり、新たに父の後を受け継いだ。全てにおいて、まだ頼りなく感じるかも知れないが、これからもリンツ家と領地領民のため、力を貸していただけると嬉しい。これからもよろしくお願いする。」
乾杯が終わり、宴会がスタートする。
ここで、ホスト席はフラン夫妻のみとなる。
「いやあ、まさか旦那様が勇退なさるまで生きてるとは思わんかったなあ、ガッハッハ!」
「でも、寂しいですねえ。これから何とお呼びすればいいんですかい?」
「ご隠居じゃない?」
「エルちゃんでいいじゃな~い。」
「ああ、それもいいね。昔はおしゃべりエルちゃんだったし。」
「あらあらまあまあ。子供に戻ってしまわれました。」
「父上はどうでも良いのですが、母上やローサお母様の方が問題でございます。」
「う~ん、大奥様になるのかなあ。ローサは、困ったねえ。個人的にはおつかいローサちゃんがお薦めなんだけど。」
「だから父上はダメなのです。至上の聖女様とか、そういう立派な呼び方で無いと。」
「あの、私はローサちゃんで一向に構いませんが・・・」
「あっしもローサちゃんが一番いいねえ。」
「ゲルは黙ってろ。いくら何でもそりゃマズいだろ。」
「商店街では今でもそうだよ。アダムっちとか。」
「うちの父が申し訳ございません。よく言い聞かせておきますので。」
「姉さん!どさくさに紛れてローサ奥様のお菓子をつまんでんじゃありません!」
「やっぱり、ローサ奥様でいいんじゃないかなあ。」
「へっ?私の案が採用ですか?」
「ウル、あたしのお陰よ。」
やっぱり、こうなるのがうちだ・・・




