ラーヘル陛下はいつもご機嫌
次の日、いつものメンバーでラーヘル陛下のご機嫌取りに赴いた。
「さあさあ、いらっしゃい。ベアちゃんも、随分慣れたわね。」
「はい、ひいおばあちゃま。」
「まあまあ、本当に日に日に可愛さを増して行くわね。本当にいい子。」
「そこは母親の唯一良い所でございます。」
「お父様、酷いです・・・」
「メリッサはいいとこだらけです。器量よし、人柄良し、利発で敵を作りません。子爵夫人にしておくには本当に勿体ないですわ。」
「陛下、あまり褒めると、すぐ鼻が伸びてしまいますので、そのくらいで。メリッサもほら、みっともないから、その伸びた鼻、元に戻しなさい。」
「は~い。」
「まあいいわ。それにフローレンスも良く来てくれました。」
「はい。私の方こそ、勿体ないことです。」
「あなたはメリッサとは全く異なる資質を持っていますね。教会の仕事には慣れましたか。」
「はい。まだまだ不慣れで、ミスも多いです。特に司教のお仕事は多岐に亘り、なかなか人々の救済に時間が割けません。」
「そうね。帝都中央教会なら特にそうね。でも、司教だからこそできることがあります。なんたって、あなたはあのテルツで修行したのです。清貧を貫き、教会を中から改革しておやりなさい。」
「お父様も同じような事をおっしゃっておられました。ありがとうございます。目の前が晴れたような気分です。」
「いいわねえ。何でエルハバードなんかから、こんなにいい子ばかり育つのかしら。」
「それは、妻たちに聞いていただけるとよろしいかと。」
「そうねえ。でも、あなたにも秘密があるのではなくて?」
「そうはいいますが、殿下方も大変好ましい方々ではありませんか。」
「ベルトホルトはまだ今一つね。先帝陛下は自らの力で即位し、フランカイザーは兄弟全員が失脚した所を見ています。それらに比べると、ベルトホルトらは、まだ何も知らない者特有の全能感が抜けていません。要するに肝心な所で判断が甘く、どうでも良い所で大きく出ようとするのです。エルハバード、あなたは同級生だったから、クリスハルトを知っていますね。」
「ええ、少しだけですが。」
「あれほどではありませんが、そうならないよう、注意する必要があるのですよ。」
「そうですか。それで、つかぬことをお伺いしますけど、その方は今は・・・」
「あら、そう言えばあれ以来聞かないわねえ。気にしたこともありませんでしたけど。まあいいでしょう。今は娘と孫、ひ孫とのひとときを楽しみましょう。」
「さあベア、ひいお祖母様のおひざが空いていますよ。」
「はい。ひいおばあさま、よろしいでしょうか。」
「まあ、可愛い。さあ乗って。うん、最高ね。」
みんな、機嫌取るの上手いなあ・・・




