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リンツ伝  作者: レベル低下中
第六章 辺境伯後編
1621/1781

もちろん、こちらも大事な日

 今日はアーニャさんの誕生日。だから外にお出掛けだ。

 この日ばかりは陛下達も譲ってくれるのだ。

 まあ、陛下たちも明日を控えて、今は非常に忙しい時期なのだが。


「今日はとてもご機嫌アーニャさんだよね。」

「はい。帝都に来てから、なかなか旦那様と落ち着いた時間を過ごせませんでしたから。」

「そうだねえ。仕事がない代わりに、千客万来って感じ?」

「また旦那様が東方の言葉を使っております。」

「すっかり覚えたよね。」


「はい。旦那様の使う言葉は、全て理解しないといけませんから。」

「その語学力は本当に驚愕するよ。私だってトウワの本の原典なんて読めないのに・・・」

 トウワ語は日本語に似ているような気はするが、微妙に文字が違うし、ミミズが這ったような字だし、古語だろうし・・・

 ヒョウエさんに習おうとしたが潔く諦めた。


「またお褒めいただきました。帝都に来てから嬉しい事ばかりです。」

「フローレンスのこととか?」

「はい。それもありますし、先日の、我が妻に狼藉を働いた者は、いかなる者も死を与えてやる、というのは痺れてしまいました。」

 うん?何となくそうだったような、そうでなかったような・・・


「まあ、そうだよ。その意味で間違いない。」

「あれ以来、ずっとご機嫌アーニャさんなのです。」

「姉さん!何失礼な事いってるんですか!」

 うん?すごく聞き慣れた声と会話が・・・


「だって~、ここの料理、美味しくないんですもの。」

「何だ、やっぱりアイリーンさんとウルさんか。こんな所でどうしたの?」

「姉さんが、ここの料理が不味いって、余りに恥ずかしかったもので。」

「あ~そうだね~、帝都ではなかなかロスリーのようにはいかないよ。良い店紹介するから、とにかくお会計してきたら。」


 ということで4人になる。

「ここならロスリーに負けないよ。」

「あっ、ここ、ジョセフ様のお店ですね。」

「そうだよ。そんなにお高くないから、外で食事するならここにしなよ。」


「はい、旦那様、ありがとうございます。ジ~・・・」

「分かった、分かったよ。甘い物奢ればいいんだね。」

「さすがは旦那様、長い付き合いだけのことはありますね。」

「この姉の存在は、ウル一生の恥です。」

 結局、3皿平らげたアイリーンさんは、満足げに帰って行った。


「思わぬ邪魔が入ってしまってゴメンね。」

「いいえ。とても楽しかったですよ。思い出に残るいい誕生日でした。」

「さあ、帰ったらお義兄様主宰の誕生パーティーだね。」

「その後も、よろしくお願いしますね・・・」

「もちろんだとも。式典をサボるつもりで頑張るよ。」


 二人で笑い、駆けながら屋敷に帰る。

 学生の頃のように・・・


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