ついに、あたらしい品種か?
農業試験場にて。
「これですか。すいません、素人なもので。」
「そう、これが一番ようできた麦だっぺ。去年の秋にええなあと思うとった麦があって、それをこないだ収穫したけんども、ほれ、これがとなりの区画の麦、全然違うべ。」
「そうですね、こうして見るとかなり実の付き方が違いますね。」
「そうだっぺ。これならたくさん収穫できるし、気候にもあっとると思わんかい?」
「では、これを秋に植えてみますか。」
「ああ、秋に半分、来年の春に半分でええんじゃないかのう。」
「それとこっちはちょっと実が大きいヤツだっぺ。」
「ああ、これもいいですね。両方ともお願いします。」
「了解しましたっぺ!」
何か・・・まあいいや、品種改良では初めての成果か。
「牛も大変よく肥えていますね。」
「できるだけ太らせろってことなんで、とにかく麦も草もたーくさん、やっとるべ。」
「しかしまあ、増えましたね。」
「ええ種牛買うてもらいましたからなあ。なんぼでも子ができる。」
「乳牛の乳の出はどうですか。」
「いい方じゃねえっぺか?やっぱりエサじゃねえ。」
「うん、そうじゃそうじゃ、エサ代ケチッちゃ何もなんねえ。」
「随分綺麗に管理されてますしね。」
「な~んか、牛も分かるみたいだっぺ。掃除した後と、水をやるときは・・・こりゃ、やめるっぺ!こら、こら!」
楽しそうで何より。
そして、こちらはまだ真新しいガラス温室。
「こちらも順調に育ってますね。」
「うんだ、暑いところの木じゃいうで、心配しとったがの、何か生えとる。」
「この季節なら、窓は全開で大丈夫ですね。」
「いっくらでも汗かくべ。冬はいいけんどもなあ。」
「散水装置もきちんと動いているようですね。」
「ああ、これか、これは自分で浴びるんが一番気持ちいいっぺよ。」
ここも、みんな楽しそうで何より。
最後に、職員が終業時の注意事項を従業員に指示している所も見学してみた。
「とにかく、栽培記録は私へ毎日確実に報告すること。特に野菜は成長も収穫も鮮度の落ちるのも早いので、報告しないで勝手に帰らないこと。牛や豚のエサ、水の量や時間も報告して、次の人に引き継いでください。後、エサも持って帰らないことをお願いします。」
いや、ここもいろいろ大変そうだ・・・




