満杯の帝都邸
「やあ、マルコ、カミル、世話になるよ。」
「いやはや、大人数とは聞き及んでおりましたが、まさかこれほどとは・・・」
「ごめんね。メイドや料理人まで連れて来ちゃった。でも、これでも選抜したんだよ。」
何せ、エルフリーゼさん、ヴィムさん、ヘンリックさんの三人の料理人に、ティアラさん、アイリーンさん、ウルさんのベテランメイド衆、レオさん、アルバンさんに、ペーター君の馭者に加えて、アスペル商会から雇った馭者や護衛8名までいる。
さらに、家族は幼児まで全員で、ルーデルさんやトマスはまだしも、オルガさんまでいる。よくこれだけの人数で来られたものである。
「さすがは、今をときめくリンツ家でございます。何せ慣れないもので少々驚いております。」
「いやあ、一度帝都に来たいって人が多くてね。その上、みんなで移動すると子供たちも大興奮で、とにかく大変な旅だったよ。」
「あらあらまあまあ、先代様が最後を過ごしたお屋敷が見られて、本当に感無量ですわ。」
「そうだね。まあ、そういう悲喜こもごももあっての来訪だよ。」
「承知つかまつりました。しかし、お部屋が足りるでしょうか。」
「それは問題ございません。私たちはボーエン公爵家に逗留しますし、ルーデルはグライリヒ男爵邸に逗留します。先代様とサブリーナ様のお部屋はそのままにお願いしますわ。」
「畏まりました。」
「ということでお義父様、お義兄様、リサさん、お世話になります。」
「ここで逗留するは久しぶりだな、婿殿。」
「ええ、しかし、1月まで長居してしまいます。」
「いや、そんなことはいいのだ。私はこんなにたくさんひ孫が集まってくれたのが嬉しいぞ。」
「そうよ、婿殿、アーニャ、でかしました。」
そうだ、ここはこういう人たちが住んでるんだった。
「しかしまあ、約3ヶ月なんて、学生時代以来だなあ。」
「そうですね。ゆっくり時間が取れますね。」
「父上、毎日膨大な仕事が溜まっているのですよ。」
「何言ってるんだ。それを片付けるのは、お前の仕事だ。」
「そうです。私たちは隠居の身ですよ。」
「ほらぁ、だから爵位継ぐなんて嫌だったんだ。」
「私は7才の時から徹夜上等で働いていたんだ。そのくらい頑張れ。」
「ところで、陛下にご挨拶しないといけません。」
「いやあ、もう少し後でいいんじゃない?毎日城は耐えられないよ。」
「私、今から登城します!」
「おいコラ!フラン、早まるな。帰ったら少しは仕事を手伝ってやるから!」




